「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

日本の少子化は、女性の晩婚化や高学歴のせいではない

なぜ育児支援が日本より貧弱な欧米の国々で、出生率が高いか。
それは夫の働き方の柔軟性にかかっています。



b0067585_21134449.jpgパク・ジョアン・スックチャ ●日本生まれ、韓国籍。アパショナータ,Inc.代表。米国ペンシルバニア大学経済学部卒業。シカゴ大学MBA(経営学修士)取得。米国と日本で米国系企業に5年間勤務。その後、韓国延世大学へ留学し、日本に戻って米国系運輸企業に入社して、日本、香港、シンガポール、中国など太平洋地区での人事、スペシャリスト及び管理職研修企画・実施を手がける。2002年退社後に現会社を設立し、日本初のワーク/ライフ・コンサルタントとして独立。Diversity(多様性)の促進にも力を入れる。著書に『会社人間が会社をつぶす―ワーク・ライフ・バランスの提案』(朝日選書)がある。ワーク・ライフバランスHP


 少子化や、家庭を持つ女性のキャリアについて、パクさんは各国の実情を表すデータと、自身の体験をもとにして明快な発言をしている。
 「日本の少子化を女性の晩婚化や高学歴のせいにする考え方は違うと思いますね。日本では高学歴女性の専業主婦率が高い。他の国々ではありえないことが起きています。それは、先進国であるのに、仕事と家庭の場に性別の役割分担が根強く残っているからでしょう。

 私の2人の子供も日本の保育園にお世話になっていますが、その質の高さと料金が手頃な点もトップクラスです。欧米では育児支援がもっと貧弱な国々があります」

 先進諸国では1985年頃まで出生率が低下したという。84年のデータでは米・仏・日本で同じ1.81。だが2000年には米国は2.13、フランスは1.90に回復。日本だけが03年には1.29と下がり続けている。

 「育児支援は充実しているけれど、保育園の送迎も、帰宅してからの世話も妻の仕事というのが日本の現状です。夫は時間的に無理だといって、ほとんど手を貸すことができない。ここを考え直さなくては少子化はやまらないと思います」

 企業が取り組むべき課題もある。社員の勤務評価を会社にいる時間で測らず、アウトプットされた仕事内容で見るようにすること。フレックスタイムで、例えば早朝7時に出社して4時に帰宅しても成果が上がっていれば良しとする。夫と妻が互いの就業時間をずらして協力すれば、育児はぐっと両立しやすくなります。

 「子育てほど楽しく、幸福なことはないと私は思います。長い仕事人生の一部の時間に、夫と妻が力を合わせて我が子の成長を喜びながら過ごす。その経験が仕事にもどれだけ豊かな影響を与えることか」

 パクさんは、家族そろって夕食を囲む楽しさを本当にうれしそうに語ってくれた。MBAまで取得し、キャリアと仕事の質は維持しつつ、である。妻が夫に働きかけ、夫も会社に自分の働き方を提案できないか。少しずつ、例えば1週間に2時間でも育児のために。パクさんの提言はとても現実的である。 

(朝日新聞 2004年12月20日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)
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by miya-neta | 2004-12-20 21:06 | 女 性