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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

ネット時代のジャーナリズム~「同じ土俵には上がらない」ライブドアPJ

MSN-Mainichi INTERACTIVE カバーストーリー

ネット時代のジャーナリズム~「同じ土俵には上がらない」ライブドアPJ_b0067585_22255156.jpg ライブドアの小田光康ニュースセンター長補佐


 ライブドアの堀江貴文社長が既存メディアのあり方に疑問を呈している。ライブドアのニュース部門は既存メディアからのニュースを掲載しているほか、一般市民からパブリック・ジャーナリスト(PJ)を募集するなどの新しい試みに取り組んでいる。同社の小田光康ニュースセンター長補佐(40)にライブドア・PJニュースのジャーナリズム論を語ってもらった。小田氏は米国で会計事務所、共同通信社、ロイター通信社の勤務を経て、早稲田大、明治大の兼任講師。2月にライブドアにPJ宣言を掲載している。【柴沼均】(◆は小田氏の発言)

 --小田さんはPJを提唱されているがどのようなものか。

 ◆ 既存メディアは市民社会のために有用な役割を果たしてきたが、日本は経済的に豊かになり、市民の要求も従来の経済的なものから、自己実現のためのものになってきた。そうすると既存メディアの情報だけでは細かなニーズに対応できなくなる。NPOの活動では本来行政がやる仕事を民間がやっているケースも多い。ジャーナリズムの世界でもそのようになるのではないか。

 市民の要求が変わったのに既存メディアは対応しきれず機能不全を起こしている側面がある。普通の人が主体的にジャーナリズムに参加することが重要となる。既に90年代以降の米国や最近の韓国などでは、市民の側からのニュース発信は増えている。ただ、外国のものをそのまま日本に持ってきても成功しないだろうから日本にあったものにしなければならない。

 では何がPJかというと、公共性の意識だ。市民の発信する情報がパブリック(公共)に向けられるか、プライベートなものかだ。また、実名で書く勇気と責任も重要だと思う。プロかどうか、文章の上手下手は関係ない。

--既存メディアに対抗するものになるのか。

 ◆ 大手メディアのニュースバリューとネット社会の市民の意識はかい離している面もある。プロは責任感は強いが、読者に教えるという啓蒙的な姿勢。ネットは自己責任で、情報を自分で取捨選択できる。3月に仙台で少女が行方不明になったとき、母親がブログで捜索を呼びかけ、ネット上であっという間に全国に広まった。ネットでも読者にこびを売るのではなく、既存メディアで伝え切れてないパブリックな情報は広まる。

 新潟県中越地震や福岡沖玄海地震で被災者の一番の関心事は、避難先での生活に役立つこと、細かな地域の被害情報、友人知人の安否など。既存メディアよりもネットの方が双方向性も生かせ、多くの情報が集まった。既存メディアにできない被災者支援となった。

 一方、調査報道や全国的なニュースは経験、知識、ノウハウをもった大メディアが有利だ。警察や検察庁の取材はやろうと思ってもPJではできない。また、危険な取材も大きな組織があれば守ってくれる。このような取材は既存メディアに、頑張ってもらいたい。PJは一緒の土俵に上がるのではなく、大きなメディアがやらないところをやればいい。

 また、PJには建築家、医療関係者など専門家もいる。シックスクール(プールの塩素やワックスなど、学校内の化学物質が原因でアレルギーなどにかかる子供が出ている問題)の問題にPJの集団が連携して取り組むことも計画している。そうなったら、既存メディアと協力して、シックスクールを報道していくこともできるのではないか。

--堀江社長は「新聞、テレビを殺す」と発言しているが。

 ◆編集権について口を出さないと堀江社長と約束している。そうでないと、単なるライブドアの宣伝機関になってしまう。個人的には将来電子ペーパーが進化して、紙と見分けの付かないものになったら別だが、紙媒体はなくならないと思う。紀元前から紙に慣れ親しんだ人間の思考回路はそう簡単には変わらないだろう。

--なぜライブドアでPJをやるのか。ブログもやっているではないか。

 ◆著名なブログでない限り、個人がブログで発信しても見ている人は少ない。ライブドアが場を提供し、PJが信頼のブランドとなる形で発信すれば読者も多くなる。

--ライブドアPJは何人ぐらいいるのか。

 ◆現在160人ほど。月2回、1日の研修(有料)を行い、修了すればPJと認定する。PJに応募して、研修待ちが500人~600人。最終的には1万人以上になってもらいたい。

--1日の研修では短くないか

 ◆1日ですべてを教えるのは不可能だが、最低限のパブリックとは何か、ジャーナリズムの定義とモラル、ニュースバリューの基準などを伝えている。また、今後は毎月1回勉強会を開いていく。

--どのような原稿でも載せるのか。率直に言って感想文のようなものも見受けられるが。

 ◆メディアの表現は画一的でないほうがいい。絵、写真はもちろん、イラストPJも作ろうと思っている。記事の正確性については、本当なのか記者に事実関係を確認することも行うし、誹謗中傷、名誉毀損にあたるようなものは掲載しない。新聞は紙面が限られるが、ネットは無限の空間であり、多様なものを掲載できる。いろんな原稿が積み重なっていけば質も上がる。

特集・ネット時代のジャーナリズム

 2005年4月11日
by miya-neta | 2005-04-15 22:25 | メディア