「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

電車脱線:通勤客ら悲鳴、車両めちゃくちゃ  流血の人次々

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 兵庫県尼崎市で25日午前起きたJR福知山線の脱線・横転事故。「直前の伊丹駅でオーバーランした」「いつもよりもスピードが出ていた気がした」。乗客たちが不審感を感じていたその直後に、突然電車は大きく左側に傾き、乗客たちは前のめりに倒れ込んだ。血だらけで折り重なりながらも、助けを求める乗客たちの悲鳴。現場では、救急隊員らがあわただしく救出作業に追われた。脱線後に線路脇のマンションに突っ込んだ先頭の電車は大破して壁にへばりつくように横たわり、事故の衝撃の強さを物語った。なぜ、こんな事故が起きたのか--。

 ◆事故の瞬間 

 「ジェット機が着陸するようなごう音とともに、猛スピードで走って来た電車が、マンション横の立体駐車場に激突し、マンションにぶつかった。『ワー』『キャー』という悲鳴がたくさん聞えた」。事故の瞬間を目撃した現場近くの鉄工所経営の男性(65)は恐ろしそうに語った。

 脱線した電車に乗っていた通勤途中の兵庫県西宮市、会社員、林貞夫さん(52)は「急ブレーキがかかって、立っていた乗客全員が前のめりに倒れた。車内で悲鳴が響き、かばんが散乱した。左側の窓からは前方に横転した女性専用車両が見え、身動きできなくなっている女性もいた」と話していた。

 先頭車両に乗っていた男性は「普段よりカーブでスピードが出過ぎていると思った。突然、外に膨らんだ感じがして外側に傾いて、車体が浮き上がったように感じ、目の前にマンションが大きく近づいてきた。気づいたら、乗客はみんな、折り重なるように倒れていた。先頭車両には、20~30人が乗っていたと思う」と話した。

 ◆現場の惨状 

 電車が突っ込んだマンション周辺では、仮設テントが設置され、駐車場に青いビニールシートが広げられた。救出されたけが人たちが横たわり、大阪府や兵庫県から派遣された救急医らが治療にあたった。

 線路脇の工場の勤務していて、線路のフェンスを切ってけが人救出にあたったという男性は「ブレーキ音に続いて、ドーンという大きな音がした。駆けつけると電車の1両目がマンションの側面にぶつかり、3両目と4両目の連結部分が開いて、乗客が線路脇に降りてきた。2両目の人は血まみれだった」と惨状を語った。

 衝突の衝撃で電車から外れた座席をベット代わりに横たわる姿もあった。

 このマンション2階にいた主婦(29)は「ドーンというものすごい音が響き、マンション全体が揺れ、部屋の化粧品や洗剤が落ちた。地震かと思い外に出ると、あたりは砂煙で真っ白で、電車がマンションにのめり込み、鉄が焼けたようなにおいがした」と青ざめた表情で話した。

 線路わきの工場従業員の男性(52)は「若い女性が足から血を流して、別の女性に電車から助け出してもらっていた」と驚いた様子だった。

 脱線した電車にはUSJに遠足に向かっていた兵庫県立川西北陵高校の3年生も乗車していた。少なくとも数十人が乗っていたとみられ、教諭らが現場で安否確認に追われた。3年生は午前10時、USJに現地集合する予定だった。

 ◆加速優れた軽量車両

 事故を起こした207系車両は、JR西日本が片町線と東海道・福知山線を結ぶ東西線の開業に合わせて91年に開発した省エネタイプ。車体はすべてステンレス製で軽量化されており、加速性能を向上させ、最高速度は時速120キロ。

 現場は「R300(半径300メートルの曲線)」と呼ばれる鉄道施設としては最もきつい急カーブ。曲線が多い東海道新幹線は最大「R2500(同2500メートル)」、東北新幹線が「R4000(同4000メートル)」程度に抑えられている。JRの在来線で関東地方ではR300が約100カ所あるが、これよりも急なカーブは少ないという。

 00年3月の地下鉄日比谷線脱線事故もほぼ同じレベルの曲線で発生しており、旧運輸省はこの事故を契機に急カーブには線路の内側にレールを1本敷設する「脱線防止ガード」を設置するよう指導した。

 JR関係者は「車と衝突したのが直接の原因でなければ、運転マニュアルに定められた制限速度の時速70キロを超える高速状態で現場に進入し、カーブを曲がりきれずに遠心力で車両が振られて脱線した可能性が高い。運転手の速度超過によるオーバーランしか考えられない」と推測する。【斎藤正利】

 ◆乗客同士で救出 

 後ろから2両目に乗っていた毎日新聞人事・総務部の和田堅吾副部長(47)は「当時車内は7、8割が埋まるほど込み合っていた。事故直後、外を見ると地面へ投げ出された人の姿があった。扉がすぐに開いたので、外に出て他の乗客と救助を始めた」と証言。横転してつぶれた車両の壊れた窓から、乗客同士で引き出したという。「頭、手、足から血を流し、骨折している人もいた。30~40人は救い出した。しかし特殊な救助作業をしないと運び出せない乗客が多く、車内に残されていた人もいた」と話した。

 ◆病院では

 現場近くの病院には、けがをした乗客らが次々と搬送された。

 兵庫県尼崎市潮江1の尼崎中央病院は事故の特別窓口を作り、重傷患者から優先的に治療を始めた。乗客約40人が搬送。重傷患者がストレッチャーに乗せられて運び込まれると、院内は騒然とした雰囲気に包まれた。乗客の関係者と見られる男性がJR職員に「早く名簿を出せ。何をやってんや。逆の立場になってみろ」と、つかみかかる一幕もあった。

 尼崎市の関西労災病院では、患者約70人が搬送された。午前11時25分ごろには、患者約10人を乗せたトラックが救急外来に到着。医師らが荷台に上がって「大丈夫ですか」と大声で患者に呼びかけ、意識の有無を確認するなど騒然とした雰囲気となった。病状の悪い患者らが救命センターなどに転送されるなど、同病院は大勢のスタッフが対応にあたった。二男(18)が同病院に運ばれた兵庫県伊丹市の主婦(47)は「息子から『事故に巻き込まれた』と電話があり駆けつけた。腰が痛くて歩けないらしい。大学に入学したばかりなのに」と心配そうだった。

 ◆JR西日本 

 8台のテレビ画面が並ぶJR西日本広報室では、事故直後、正確な情報が伝わらず、怒声が飛び交った。

 当初は乗客数を約200人と発表したが、すぐに約580人と訂正。事故の発生場所も「第一新横枕踏切」から「踏切手前付近」に修正した。ひっきりなしに電話が鳴り、テレビのニュース映像が流れる中、けが人の数についても「確認できてません」の繰り返し。

 午前11時15分過ぎに始まった1回目の会見でも、村上恒美・安全推進部長は事故状況や原因について「確認できていない。今後の調査次第」と述べるにとどまった。車掌からは「けが人が多数出ている」という情報しか入っていないという。

 垣内剛社長も「負傷者への対応を第一にし、輸送を正常に復帰できるよう努めたい」と述べるのが精一杯だった。

 ◆警察庁が連絡室 

 警察庁は25日午前9時45分、警備課に警備連絡室を設置。兵庫県警からの情報収集などにあたっている。また、大阪府警は午前11時までに広域緊急援助隊員41人を現場に派遣した。兵庫県警は約700人体制で事故に対応している。

 ◆遺体安置所 

 尼崎市西長洲町の尼崎市総合体育館には午後0時45分ごろから、警察車両で犠牲者の遺体が次々と運ばれた。

 機材搬入口をブルーシートで覆い、犠牲者が外から見えないよう配慮しているため中の様子は分からないが、約10分後、犠牲者の家族らしい女性3人が体育館に到着した。警察官に促され、正面入り口へ回ったが、詰め掛けた報道陣には表情をこわばらせていた。

 ◆過去の事故

 戦後の列車事故で死亡者が最も多かったのは1947年2月に埼玉県で発生した旧国鉄八高線の列車転覆事故。死者184人、負傷者は497人に上った。62年5月の旧国鉄常磐線三河島駅の事故では死者160人、負傷者296人、63年11月の旧国鉄横須賀線鶴見駅の事故では死者161人、負傷者120人を出した。

 最近では、死者42人、負傷者628人を出した信楽高原鉄道の正面衝突事故(91年5月)▽負傷者217人の大阪市交通局の「ニュートラム」事故(93年10月)▽死者5人、負傷者60人の地下鉄日比谷線の衝突事故(00年3月)--が目立つ。今回の事故もこれらに匹敵する大事故になった。【小林直】

 ◇脱線事故に遭遇した毎日新聞経済部の久田宏記者の話

 脱線した電車の1両目の後部に乗っていた毎日新聞経済部の久田宏記者(30)は事故当時の状況を次のように語った。

 伊丹駅で停車位置をオーバーランしたために遅れて出発し、尼崎駅に向かう途中でした。車内の座席は埋まり、僕も含めて数十人が立っていました。

 カーブで電車が左に傾いた後、ドカンという音とともに打ち付けられるような強い衝撃があり、体が吹き飛ばされました。その瞬間、「ウオー」という声にならない悲鳴が車内に響きました。車両が動き続けているのがとても怖く、とにかく早く(車両が)止まってくれと願いました。気づくと眼鏡は吹き飛び、車両は大きく傾いていた状態で、「助けてくれ」という男性の声、女性の泣き声、「落ち着こう」という声が聞こえてきました。

 割れたガラスの窓の外から金網が車内に食い込んでいて、その窓から金網をつたって、前の人に続いて必死にはい出しました。そこで初めて、金網はマンション駐車場のもので、車両が駐車場の中で完全にひしゃげているのが分かりましたが、しばらくは何が起きたか状況をうまく把握できませんでした。頭から出血しましたが、同じようにはい出した人たちの大半も血まみれでした。病院で頭部を10センチほど縫い、ロビーでニュースを見て多数の死者が出たことを知り、改めて恐怖がよみがえってきました。

英訳はこちら

毎日新聞 2005年4月25日 12時23分
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by miya-neta | 2005-04-25 23:48 | 社 会