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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

子どもを大切にするということは 兵藤ゆき

asahi.com: 子どもを大切にするということは-教育

アサヒコム 2005年05月05日11時04分

 息子が生まれて初めてのこどもの日、姉がこいのぼりを二階のベランダに取り付けてくれた。NYの大学に留学中の夫は、まだ学校が休みにならないため、息子と対面しに日本に帰ってくることができず、初節句は、私と姉、そして私の父の三人で祝ったのである。

 こいのぼりの前で写真を撮ってもらおうと、息子を抱いてベランダに出たのだが、やたらに風の強い日で、危うくふたりとも吹き飛ばされそうになった。

 なんとか踏ん張って撮ってもらったのだが、出来上がった写真は、そこからバタバタと風の音が聞こえてきそうなくらいこいのぼりははためき、私の髪も、顔の皮も、真横になびき、肝心の息子の顔にはブランケットがかぶさっていた。

 なんとも情けない初節句の写真である。 

 次の年はもうニューヨークに来てしまっていたので、結局日本でのオン・タイムのこどもの日の写真は、今のところこれだけである。早く日本に帰りたいと思っている私の気持ちとは裏腹に夫の留学が延びているので、こんなことになっているわけである。

 さて、この「こどもの日」、アメリカ人の友達たち(たいていは息子の友達の父母たち)に説明すると、こぞって、「日本人は、子どもをとっても大事にしているんだねー」と感心される。言われた私は、説明したものの心の底で、「いやー、そうでもないんだなあ、これが」と、複雑な気持ちでいっぱいになる。

 日本か恋しくて仕方がない私は、息子の学校が冬休みや夏休みになると、いそいそと日本に帰ってくるのだが、帰るたび、あらー?と首をひねりたくなるような光景にぶちあたる。

 たとえば、地下鉄のエロっぽい吊り広告や、スポーツ新聞のエロページを堂々と車内で広げて見入っているおやじたち。

 コンビニの雑誌売り場に、「あー、ママ、ポケモンの本があるー」と子どもが近寄って行くと、すぐ隣にビニ本が置いてある。

 まったく日本はエロおやじ天国かとがっかりしてしまう。

 たとえば、「居酒屋に子連れで行ってもいいように、子どもメニューができましたー」とリポートしているニュース番組。

 こら、待てよ、子どもを酒の場所へ連れて行くのを公共の電波で奨励するなよなあ、とがっかりしてしまう。

 子どもを大切にするということは、まず大人たちが健全に生き、健全な社会になるよう努力して、身勝手な大人たちの不健康な環境に、子どもたちが巻き込まれないようにしてあげる、ということではないのか。

 こどもの日をアメリカ人に説明するものの、つくづく私は考えてしまうのである。
(次週に続く)
by miya-neta | 2005-05-05 10:47 | 教 育