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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

格差幻想:子どもの将来を買えますか/2 選別される学校

MSN-Mainichi INTERACTIVE 教育ニュース


 ◇文科官僚「わが子は私立」

 わが子を全員私立中学に入れた文部科学省の現職幹部が、子どもの数や学校名を伏せることを条件に取材に応じた。

 --私立を選んだ理由は何ですか?

 幹部 子ども自身が希望した。

 --高校や大学受験ならともかく、中学受験で親の意向がないとは考えられない。

 幹部 親として「やってみたら」と勧めたら「やる」と言い出した。

 --公立学校を監督する文科省の職員として筋が通らないのでは?

 幹部 そんなことはない。私立も公教育だ。

 --地元の公立中は荒れていた?

 幹部 荒れてはいないが、公立中学に進んだ先輩たちが高校受験に備えて夜遅くまで塾通いする姿に、「私立の中高一貫校でのんびりやりたい」と(子ども自身が)考えたようだ。公立のゆとり教育からすれば逆説的な状況がある。

 この幹部に限らず、子どもを私立中に入れるキャリア官僚は少なくない。文科省の別の中堅キャリアはこう言って胸を張った。「うちは公立中に通っている。省内では少数派です」

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 中央省庁を抱える千代田区には官舎も多数存在する。同区の人口は4万3413人(5月1日現在)で、区立小学校の学年平均児童数は476人。ところが、区立中学の学年平均生徒数は368人。千代田区の小学校に通っていた子どもの約22%が私立中などに進んでいる計算だ。

 全国で最も私立学校数が多いのは東京都で、2位以下の大阪府や神奈川県を倍近く上回る。それでも公立小から私立中への進学率は都全体で17%前後。千代田区の高さは際立っている。

   □   ■

 午前8時すぎ。満員電車がJR市ケ谷駅に滑り込み、黄色い学帽に緑のリボンをつけた小学生たちが大人をかき分け降りてくる。四ツ谷駅や地下鉄麹町駅でも同じ光景が見られる。千代田区立番町小学校に通う子どもだ。リボンは1年生がつける決まりになっている。

 「昔から伝説的なブランドです」と区教委職員が言う。在籍児童622人は住民票、生活実態の有無で4分類される。通学区域内に両方ともある子は3割。残りは片方、または両方ともない「区域外通学」だ。

 「外国の要人を両陛下が迎賓館でお迎えする際に小旗を振るなど貴重な経験ができる。うちは勤め人ですが、親は医者や弁護士が多い。教員も素晴らしい」。都外から1時間かけて娘を通わせる母親(47)は話す。長男は今春、番町小から区立麹町中へ上がり、電車で通う。「地元の子は勉強しないので一緒に遊ばせたくない」と母親は話す。長男の将来の夢は弁護士という。

 学校の周囲にマンションが建ち並ぶ。通学用に購入する親もいる。「これだけあれば、子どもを通わせようと思えばできる」と水を向けると、星野昌治校長は首を振った。「逆です。番町小があるからマンションが建つのです」。隣接の駐車場に高層マンションの計画が浮上し、業者には区外の親たちからの問い合わせが相次いでいる。【教育取材班】=つづく

毎日新聞 2005年7月20日 東京朝刊
by miya-neta | 2005-07-20 09:49 | 教 育