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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

試す特区の学校(7) ネット活用する通信制

試す特区の学校(7) ネット活用する通信制 : 教育ルネサンス : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 株式会社が経営する通信制高校が急増している。
試す特区の学校(7) ネット活用する通信制_b0067585_15362218.jpg パソコン画面の中央が黒板代わり。周囲には、授業を受けている生徒の顔が並び、ヘッドホンから教師や生徒の声も聞こえる。東京都品川区の南雲明彦君(20)が、午後1番に自宅で受けた授業は国語。「普段使っている言葉から日本語の特質を学ぼう」がテーマだった。

 「英語でI。日本語では何と言いますか」という教師の問いかけに、生徒らが「僕」「おれ」「わし」などと答えると、教師が“黒板”に発言を書き足す。日本語には、一つの意味にたくさんの表現があることを考える授業だ。

 南雲君が学ぶのは、株式会社が経営する全国初の通信制高校「美川特区アットマーク国際高校」。旧石川県美川(みかわ)町(現・白山市)の申請した構造改革特区で認められた。

          ◎

 自宅に郵送される教材での自習が基本だが、時間割に沿ってインターネットを使った授業も受けられる。東京、甲府、金沢に設けられたパソコンのある教室に毎日通う生徒もいる。通信制に必須のスクーリング(面接授業)をする場所が原則、白山市。不登校経験者や海外で暮らす若者ら約220人が在籍する。

 3年生の南雲君は、かつて、ひきこもりだった。全日制、定時制と、ほかの通信制の高校にも在籍した経験を持つ。「ここは生徒と先生の関係が密」。プライベートコーチ(担任)に、学習計画や進路の相談をするだけでなく、電子メールで近況報告もするからだ。

 同校では4月に、生徒同士の交流を深めたい生徒から「演劇部を作りたい」という要望もあがった。

          ◎

 経営するアットマーク・ラーニング社は元々、5年前からインターネットを使った無認可の学校をやってきた。米国の通信制高校と提携して米国の高卒資格は得られたが、日本の高卒資格が欲しいという声は根強かった。

 それだけに特区制度は渡りに船。申請をしてくれる自治体を探し回り、美川町にたどりついた。町の要望もあって、合併で消える町名を校名に冠した。

 町とは、2007年3月までに、町内に新校舎を建築するという覚書を交わした。ただ、今のスクーリング会場は、中学校の空き教室などを使う。ネット授業を活用することで、スクーリングは最短年2日で済んでしまう。7月のスクーリングでも、参加者44人中、同町に宿泊した生徒は1人。町は経済効果の面で物足りなさを隠さない。さらに、ネットを活用した通信制高校が続々と生まれていることも心配する。

 「今は需要に学校数が追いつかない状態。全く心配ない」とアットマークの日野公三校長(46)。

 今春、三重県志摩市で特区を使って開校した代々木高等学校の一色真司校長(44)も「ニーズはまだまだある。生徒数(現在約250人)は4000~5000人まで増やしたい」と意気込む。

 自治体とは対照的に、学校関係者は強気だ。(村井正美)

 株式会社立の通信制高校 アットマーク、代々木に加え、すでにウィザス(茨城県高萩市)、くまもと清陵(熊本県南阿蘇村)、勇志国際(同県御所浦町)の計5校が開校。今後も6校の開校予定がある。母体は、塾や通信制高校生の学習支援をするサポート校、大検予備校など。不登校の増加もあって、通信制高校そのものも1990年度の84校から2004年度には152校に増えている。

(2005年7月28日 読売新聞)
by miya-neta | 2005-07-28 09:35 | 教 育