「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

男が「さらけ出す」場を提供

男が「さらけ出す」場を提供 : 連載 : ニュース : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


「男の愚痴なんてほかでは言えないからね」

 リストラを機に借金を重ね、自己破産に陥った情けなさを、中年男性は電話口で淡々と語り、30分後、すっきりとした様子で受話器を置いた。

 大阪市が昨年始めた「男性の悩みのための相談」の相談員、中村彰さん(57)は「弱音を吐きたいと思っても男たちにはそういう場がない。ひとりで悩む男性が何と多いことか」と話す。

 伝統的役割の「男らしさ」にとらわれず自分らしく、しなやかに生きたいと、14年前、ウーマンリブ(女性解放運動)に倣い、メンズリブを提唱。「メンズセンター」(大阪)を作り、運営委員長の肩書を持つ。相談業務は同市からの委託。月に2、3度、男たちの声に耳を傾ける。

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 3世代6人家族の長男として大阪府に生まれた。教科書では男女平等を学んだが、家に帰れば「男の子らしい」振る舞いを期待され、内気な少年は窮屈な毎日を過ごした。

 大学卒業後、地方の新聞社に入社。大勢の同期と競うように残業や休日出勤をこなす典型的な団塊世代だった。

 1989年、女性グループが主催する討論会にパネリストとして担ぎ出された。テーマは「男はフェミニストになれるか」。専門知識はなかったが「男として生きる息苦しさ」を初めて語った。少年時代から感じてきた違和感、職場の人間関係に疲れウツになったが、妻に弱みを見せられなかったつらさ……会場の男性から共感の声が渦巻いた。

 「男が本音で語り合える場を作ろう」。91年、同センターの前身となる「メンズリブ研究会」を発足させた。「働き方」「性」「職場でのいじめ」などのテーマで、2か月に1度、酒抜きで語り合った。「男」に潜むプライドや建前を脱ぎ捨て、自分をさらす体験は心地よかった。

 しかし、周囲からは「(男性をやめ)中性になろうとしているのか」と異端視された。社内でも「変人」のレッテルを張られた。会社の歯車で終わりたくないとの思いも強く、7年前に退職。今は講演や大学の非常勤講師などで生計を立てつつ、「男のフェスティバル」を年に1度開くなど、幅広く活動する。

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 リストラなどを機に、自分を見つめ直す男性が増え、逆風は追い風になり始めた。メンズリブに共鳴する男性グループは全国にでき、今は約50団体に。自治体主催の男性向け講座も盛況だ。「まずは仕事以外の世界を持ち、話せる仲間を作ることから始めてみては」と中村さんは言う。

 男性のおしゃべりは“武勇伝”や専門的な話になりがち。「自分の気持ちを口に出し、相手の話にも耳を傾け、思いを添わせることが大事。簡単なことのようですが、特に中高年層は『男に必要ない』と切り捨ててきた部分がある。互いに向き合い話すことから、自分らしい生き方が見えてくると思う」

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(2005年7月12日 読売新聞)
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by miya-neta | 2005-07-12 08:53 | 女 性