世論調査:郵政解散、まずは奏功 首相決断に比較的好感
2005年 08月 10日
小泉内閣の支持率が46%まで伸びた毎日新聞の世論調査結果は、内閣の命運をかけた衆院解散によって郵政民営化に対する民意を問う小泉純一郎首相の決断のわかりやすさが、自民党内の反発とは裏腹に国民からは好感されていることを示した。党内の反対派を敵に回しての分裂選挙で「郵政民営化」を争点に位置づけ、「小泉自民党」への期待を高めようとする「郵政解散」戦略がまずは功を奏した格好だ。
◇「選挙で重視」51%
調査よると、支持の理由は「指導力に期待できる」が22%(前回比3ポイント増)、「政治のあり方が変わりそうだから」が48%(同2ポイント増)だった。自民党の中川秀直国対委員長は「思い切った解散をして国民の審判を得る決断の分かりやすさ。小泉さんの方に風が吹くのではないか」と指摘、同党幹部の一人も「公約実現へストレートに民意を問う姿勢が評価された」(幹部)と述べた。一方で、投票日までまだ1カ月あることから選挙への影響の期待は早計との見方もある。
次期衆院選の投票で「郵政民営化問題を重視する」との回答は51%と「重視しない」の43%を上回った。重視する人の65%が「自民党を軸にした政権」を、重視しない人の50%が「民主党を軸にした政権」を望むと回答。首相の主張通り郵政民営化が衆院選の最大の争点となった場合、民営化法案に反対した民主党に不利に働くとみられる。
ただ、郵政民営化をめぐる小泉首相のこれまでの対応については「評価しない」が48%で、「評価する」の44%をわずかに上回った。「法案が否決されたら衆院を解散する」として反対派に法案への賛成を迫った首相の手法に対する違和感もうかがわれる。
「衆院選で最も重視する政策を尋ねた質問では「年金・医療・介護」が37%で「景気対策」の21%、「税制改革」の17%が続いた。質問の選択肢にない「郵政民営化」との比較はできないが、急速な少子高齢化に備えた社会保障制度の改革や、一層の景気改善を期待する声は強い。
「郵政民営化に賛成か、反対か」を争点に据えようと懸命にアピールする自民、公明両党に対し、民主党などの野党が郵政以外の論点を効果的に提示できるかが今後の焦点となる。【平田崇浩】
◇世論調査の質問と回答◇
◆小泉内閣を支持しますか。
全 前 男 女
体 回 性 性
支持する 46 (37) 52 43
支持しない 37 (40) 39 36
関心がない 15 (18) 7 19
◇<「支持する」と答えた方に>支する理由は何ですか。
自民党の首相だから
6(9) 3 7
指導力に期待できるから
22(19)27 19
新しい政策が期待できるから
21(22)21 21
政治のあり方が変わりそうだから
48(46)47 49
◇<「支持しない」と答えた方に>
支持しない理由は何ですか。
自民党の首相だから
11(6)10 11
与党との妥協が目立つから
25(22)30 23
景気回復が遅れているから
45(50)39 49
政治スキャンダルの対応に消極的だから
11(12)12 10
◆どの政党を支持していますか。
自民党 32(26)39 29
民主党 15(18)20 12
公明党 5(6)3 6
共産党 4(3)3 4
社民党 2(1)2 1
自由連合 0(0)- 0
その他の政党 1(2)1 1
支持政党はない 39(44)31 43
◆あなたは衆院解散に賛成ですか。
賛成 54(53)62 49
反対 36(36)35 37
◆郵政民営化法案が不成立となったことを評価しますか。
評価する 42 37 44
評価しない 48 59 43
◆郵政民営化問題に対する小泉首相のこれまでの対応を評価しますか。
評価する 44 51 41
評価しない 48 46 49
◆衆院選で投票の際、郵政民営化問題を判断材料として重視しますか。
重視する 51 53 50
重視しない 43 44 42
◆次の衆院選で最も重視する政策は何ですか。
景気対策 21 24 19
税制改革 17 20 16
年金・医療・介護 37 36 38
教育問題 9 8 9
治安の回復 2 1 3
外交・安全保障 9 8 9
◆衆院選では、どの政党の議席を増やしたいですか。
自民党 38(25)45 34
民主党 26(35)30 25
共産党 5(5) 5 5
社民党 2(2) 2 2
自由連合 0(0)- 1
その他の政党 12(15)10 13
◆衆院選後も自民党を軸にした政権が続いたほうが良いと思いますか、民主党を軸にした政権に代わったほうが良いと思いますか。
自民党を軸にした政権を望む
50 55 48
民主党を軸にした政権を望む
35 37 33
(注)数字は%、小数点以下を四捨五入。0は0.5%未満、「-」は回答者なし。無回答は省略。カッコ内の数字は前回7月16、17日の調査結果。
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◇調査の方法 8、9の2日間、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS(ランダム・デジット・サンプリング)法で全国の有権者1000人を目標に電話で調査し、857人から回答を得た。
毎日新聞 2005年8月10日 3時00分