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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

波に乗る「500円本」 旧作「再利用」にも一役

asahi.com: BOOK


 ワンコインで手軽に買える500円本が次々に出版されている。ほかの商品では一段落した「価格破壊」の波が、やや遅れて出版物に押し寄せている形で、ベストセラーも目立つ。作家の旧作を集めたり、かつて出た雑学系の本の中身を仕立て直したり。出版物の「再利用」にも一役買っている。

 「定価500円」。表紙に大きく刷り込んでいるのは、今月、KKベストセラーズから出た『五木寛之ブックマガジン 夏号』だ。

 「さらばモスクワ愚連隊」「海を見ていたジョニー」「青春の門〈筑豊篇(へん)〉」など主に60年代の人気小説8作品に、原作漫画1作品、書き下ろしエッセーなどを収録している。同じA5判の文芸誌は千円近くするから、旧作の再録本とはいってもかなり安い印象だ。

 「こういう本が安くできればいいね、という話が五木さんとの間で持ち上がり、まず500円という価格が出てきた」と担当したKKベストセラーズ・書籍編集局第一編集部の江渕真人編集長は話す。「お得だと思う。いや、お得すぎるかな」。第1期として季刊で計4号出す予定だ。

 今年春によく売れ、これまでに87万部に達している『これだけは知っておきたい個人情報保護』(日本経済新聞社)も税込み525円で、500円本の一種といえる。また、パソコン関係の実用ムックにも500円のシリーズがある。

 そして今、こうした流れの中心にあるのが、昨年から続々出版されているB6判の雑学系500円本だ。コンビニ向けにKKベストセラーズ、青春出版社などが始めたものだが、好調な売れ行きに書店も扱うようになった。

 代表格が70万部のベストセラーになっている『ワルの知恵本』(河出書房新社)。「なにしろ文庫本より安い。読者は買いやすいと思う」と伊藤美代治・同社営業部長は話す。青春出版社も「ワンコインB6軽装判シリーズ」と名づけてこれまでに21点を刊行し、『モノの原価がまるごとわかる!』など3点が10万部を超えるヒットに。当初は月1点だったが、反応の良さに最近は月2点に増やしている。

 ただ、低価格の実現には苦労があるようだ。河出の場合、初版は基本的に3万5千部。ふつうの単行本よりも多くすることで1部あたりのコストを下げた。紙代なども抑え、カバーや帯もつけていない。この500円本のスタート前には見本を5~6回つくり直したという。伊藤営業部長は「著者の方にもご協力をいただいています」。印税もまたコストカットの例外ではないようだ。

 この500円本は、かつて出た本の再利用にもなっている。出版物には単行本→文庫本、という流れはあってもその先はなかった。だが、雑学本には文庫本を再構成したものが目立つ。

 旧作をメニューにした『五木寛之ブックマガジン』もこれに近い。KKベストセラーズの江渕編集長は「文庫化しておしまい、ということでいいのか、という思いがあった。読者に新しい形で五木作品に接してほしかった」とねらいを語る。

 思い浮かぶのが、文庫から廉価本へと形態を移していったコミック。同じ流れがここに見てとれる。

 パソコン実用ムックには、すでに490円本が登場している。『トリビアの泉』『ベラベラブック』『ダイエットSHINGO』『Deep Love』などの千円本がよく売れたのが03年。それから2年で500円本の大きな流れができ、さらにその先の気配も見える。ワンコインといえば次は100円ということになる。100円ショップにはすでにあるが、コンビニや書店で実現するのはさて、いつになるのだろうか。

■500円本の主なベストセラー(※部数は各出版社による)

書名                   著者または編者      出版社     発行部数

これだけは知っておきたい個人情報保護   岡村久道・鈴木正朝    日本経済新聞社 87.0万部

ワルの知恵本               門昌央と人生の達人研究会 河出書房新社  70.0万部

またまたワルの知恵本           人生の達人研究会     河出書房新社  28.0万部

モノの原価がまるごとわかる!       (秘)情報取材班     青春出版    18.0万部

お客に言えないウラ事情          知的生活追跡班      青春出版社   16.8万部

脳内ストレッチ200! IQ頭脳にチャレンジ! IQ選定・開発研究会    青春出版社   15.7万部

かなりHな大疑問250連発!         博学こだわり倶楽部    河出書房新社  15.0万部
by miya-neta | 2005-08-29 20:52 | メディア