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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

「コメ所有権は農家」 全農秋田前本部長ら逮捕

河北新報ニュース


 全農秋田県本部のコメ横流し事件で、全農と農水省から背任容疑で告訴、告発を受けた秋田県警の捜査本部は15日、業務上横領容疑で、前県本部長田村隆容疑者(62)らの逮捕に踏み切った。職務上、子会社のパールライス秋田への利益を計り、県本部に損害を与えたとのとらえ方ではなく、県本部が農家から販売委託を受けた預かり米を、パール秋田の抱える遅延債権の穴埋めのために費消したという構図を描いた。

 立件する上で大きな焦点となったのが、流用されたコメ762トン分の所有権が誰にあるのかだった。
 「被害を受けたのは全農県本部ではなく、県本部にコメを販売委託した農家。所有権は農家にある。背任には当たらない」(県警幹部)との判断が働いた。
 田村容疑者は、コメの横流し先だったパール秋田の社長を兼務していた。販売側のトップが、購入側の卸業者のトップを務めるいびつな形態が組織内に存在した。

 県警は、「損害を与える目的」と「身分」が犯罪の構成を左右する背任容疑で立件するより、占有するコメを横流しした業務上横領という明快な犯罪事実を浮き彫りにした格好だ。

◎田村容疑者「切れ者」「独善的」

 全農秋田県本部の前本部長田村隆容疑者(62)は1965年、秋田県経済連(当時)に入った。企画などの管理部門、自動車燃料部門を経て常務理事になり、全農との合併に伴い、2002年4月、県本部長に就任した。
 県内の農協関係者の間では実務能力の高さや、まじめな人柄から「切れ者」と評され、信頼も厚かった。一方で独善的な一面もあり、農協組合長からは「融通が利かない」との批判も聞かれた。

 コメの横流し事件発覚後のことし5月、河北新報社の取材に対し、田村容疑者は「生産者、消費者に迷惑をかけ、申し訳ない。兼務するパールライス秋田の社長職は、年に数回顔を出すだけの非常勤の立場だった。事件については司直の判断に委ねたい」と語った。

 石井俊征容疑者(60)、斎藤誠吾容疑者(61)はともに県経済連で米穀部門を長く担当し、石井容疑者は02年4月に副本部長、04年6月から約9カ月間、パール秋田社長を務めた。斎藤容疑者は01年4月にパール秋田に出向し、04年6月まで専務だった。

<コメの不正取引をめぐる主な動き>

4月14日 全農秋田県本部が子会社のパールライス秋田に玄米762トンを横流ししていたことを公表
  21日 県本部は調査の中間報告で、全国米穀取引・価格形成センターの入札で、パ社と民間卸業者を相手に架空取引し、補助金約1200万円を不正受給していたと発表
  28日 全農本部などが背任容疑で田村隆・前県本部長ら計3人を告訴
5月13日 農水省が調査の中間結果をまとめ、組織ぐるみの不正と指弾。コメ価格センターは県本部の入札参加資格停止を決定
  17日 全農が田村前本部長を懲戒免職処分
  20日 全農が調査結果を公表。架空取引が指標価格低下の歯止めだったと認める一方、補助金受給は意図的ではないと判断
  31日 県本部の再生検討委員会が発足。農水省の調査で、全国7本部で不適正会計処理が判明
6月2日 全農会長ら4人が引責辞任を表明
  6日 農水省が田村前本部長らを背任容疑で告発
  23日 全農が前営業課長を懲戒解雇にするなど計20人の処分を発表
  24日 県本部は、秋田県次長を本部長に迎え、組織を刷新
7月10日 秋田県警が強制捜査に着手し、県本部などを家宅捜索
  13日 01年産米の共同計算勘定に約7600万円の不足金があることが判明
10月15日 県警が業務上横領容疑で田村前本部長ら3人を逮捕

2005年10月15日土曜日
by miya-neta | 2005-10-15 08:27 | 経 済