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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

先生査定、年収差20万円 大阪

朝日わくわくネット-教育情報(2005.11.9更新) 


 大阪府教委が導入を検討している勤務評価に基づく教職員の給与査定について、府教委が実施した試算の結果が、明らかになった。現行の給与制度を基に平均給与から試算すると、最も高い評価と最低評価の間では、20万円以上の年収格差が生じている。府教委はこうした「能力給」を来年度から導入する方針で、試算結果を一部の教職員組合に提示した。組合側は「賃金格差が大きすぎる。現場の教職員に不公平感をもたらし、混乱を招く」と反発を強めている。


 府教委は昨年度から、府内の公立学校を対象に、常勤の全教職員を5段階で評価する「評価・育成システム」を導入。自己申告票を基に、教職員は校長から、校長は教育長らから評価される。
 「能力給」は、前年度の総合評価の結果を基にし、翌年度の給与に反映させる。
 試算では、5段階評価で上位S、Aのプラス評価を受けた教職員は定期昇給の時期を通常よりも3~12カ月早めて実施。月給の増額に加え、基本給を基に算出するボーナスにも反映させた。
 昨年度の府内小中学校教諭の基本給は平均40万2千円で、毎年約6500円定期昇給する。この場合、通常より12カ月早く昇給すると年収が約10万円増える計算になる。
 一方、C、Dのマイナス評価は、懲戒処分の減額に準じて試算。最大で約16万5千円、最小で約3万3千円、年収が減ることを示した。自己申告票を提出しない場合は服務規律違反に当たるとしてC評価とし、継続して出さない者はD評価とする方針という。
 ただ、府教委は「懲戒処分並みにすれば、格差が大きく不公平感が出るので、上げ幅と下げ幅を同じ程度にしたい」とし、上下の格差を20万円程度にとどめたい考えだ。
 公務員の給与を巡っては、人事院が国家公務員について「定期昇給」から「査定昇給」に改める方針を打ち出している。大阪府人事委員会は昨年10月、評価を給与に適切に反映させるよう勧告した。


 現場はため息 ごまする人が出る/校長「やりにくい」
 5段階の勤務評価で給与に差を付ける大阪府教委の試算は、教育現場に波紋を呼んでいる。教職員の意欲や資質を高め、子どもの教育に効果をもたらすのだろうか。
 大阪府高槻市の50代の小学校女性教諭は昨年度、B評価(標準)だった。教職員で教え合ったところ、ほとんどがBだったと分かり、「正直ホッとした」。「学校の職場でも人の好き嫌いはある。公平な評価と言っても校長次第。校長に好かれようと、ごまをする人が出てこないか心配だ」と話す。
 部下を評価する立場の校長はどうか。
 50代の小学校長は「自分がつけた評価がそのまま先生らの給料に反映すると、何ともやりにくい。先生同士で評価結果を教え合えば、『なぜ校長の評価は低いのか』と人間関係が難しくなる。お金が絡めばなおさら」と、ため息をつく。
 教職員組合はいずれも、導入に反発する。
 大阪府高等学校教職員組合(大阪高教組)の担当者は「評価が適正かどうかの検証がないため、給与に反映をさせることは反対だ。学校では先生同士が協力して教育にあたっており、その中で差がつくことはおかしい。教育の場にはそぐわない」と強調する。
 大阪教職員組合(大教組)の組合員は「全国集会で他府県の組合員から『大阪で能力給が導入されれば、自分たちのところも必ずくる』と質問をよくされる。能力給が導入されれば、他府県の先生にも影響を及ぼす」と懸念している。

 人事コンサルタントの柳下公一・元武田薬品工業専務の話 評価基準を明確にしさえすれば、「能力給」の導入は給与の「官民格差」をなくす流れの中では当然だ。勤続年数が一緒でも、100万円近くの年収格差がある民間会社もある。20万円程度の格差は大きいとは言えない。

 数学者の森毅・京大名誉教授の話 年収差は極端に意識するのは望ましくないけど、20万円程度ならまあ許容範囲かな。みんなそこに目が向いちゃうとマイナスだが、評価システムのどこがまずいのかを知るためにもやってみたらいい。先生自身の意識の問題や。


 ◆キーワード
【教職員の評価・育成システム】教職員が年度初めに各自の目標を設定した自己申告票を校長に提出。校長が面談するなどして、年度末にS、A、B、C、Dの5段階(Bが標準)で業績評価する。大阪府教委は2004年度、公立学校に本格導入した。自己申告票の提出状況(今年7月末)は、府立学校92.4%、市町村立学校94.7%。出さないとC評価になる。
 同様の制度は東京都と神奈川、香川、広島の各県で導入され、都は給与へ反映している。  

 
by miya-neta | 2005-11-09 00:05 | 教 育