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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

NPO活動促進/寄付金の税優遇で基盤強化を

河北新報ニュース


 NPO活動がすそ野を広げ、市民権を得つつある一方、陰りの兆候が見え始めている。特定非営利活動促進法(NPO法)に基づき認証された特定非営利活動法人(NPO法人)の解散が相次いでいるのだ。
 財政再建と民間活力を引き出すため、「小さな政府」に向けた取り組みに拍車が掛かる中、公共サービスの一部を担い、またしなやかな社会形成づくりへの鍵を握るNPOなど市民活動団体の役割は大きく、足踏みは看過できない。NPO法人はその要だ。

 NPO活動は、弱い立場の人の暮らしを支え、痛みを和らげる行政のセーフティーネットを補完する機能が期待され、同時に行政との協働は地域づくりの有力な手段でもあるからだ。
 1998年12月のNPO法施行以来、認証法人数は順調に増加。今年9月末現在、全国で2万3608団体に上る。ただ、解散する法人も急増、508団体に達している。

 内閣府によると、解散の多くはこの1年間に集中。その増加率が認証件数の増加率を上回る状況だ。東北6県も22団体が解散。半数の11件を占める宮城県では、9件が昨年以降に活動の幕を閉じている。
 財政的に行き詰まり、役割を全うできず、自主解散したケースがほとんどだ。見通しの甘さ、運営のまずさもあろうが、市民活動を後押しする財政支援などの整備が急務だ。

 内閣府の市民活動団体基本調査によると、財政規模が年間50万円以下の団体が4割弱を占め、収入の構成比も補助金等が34.6%、会費が33.2%、事業収入が22.8%で、寄付金は6.8%にとどまる。
 認定要件の緩和やみなし寄付金導入など、制度が改善されてきてはいる。が、欧米に比べ、個人と法人を合わせた寄付金総額には大きな差があり、年7000億円の日本に対し、米国は三十数倍の24兆円強だという。

 善意に依存するだけでは、市民活動の促進は図れない。行政の財政支援が難しい以上、寄付金に対する税優遇などの財政基盤強化に向けた誘導策が不可欠だ。企業に一層の社会貢献を促すとともに、個人の参加意欲を刺激する効果も期待できる。

 政府は寄付金の優遇税制拡大を検討中だ。寄付した個人や企業が所得税や法人税の軽減を受けられるNPO法人の条件を緩和し、現在「国境なき医師団日本」など37団体にとどまっている対象法人を大幅に増やすほか、所得控除や損金算入の幅も広げる方針だ。
 行政は「最後の福祉提供者」であり、責任を放棄することは許されない。その自覚の上で、NPOへの資金の流れを促し、潤いと活力に満ちた協働社会づくりを積極的に進めるべきだ。

2005年12月04日日曜日
by miya-neta | 2005-12-04 10:35 | 政 治