数学者父娘、きずな描く マッデン監督の新作
2005年 12月 20日
2005年12月20日17時45分
ジョン・マッデン監督
「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー賞を受賞したジョン・マッデン監督の新作「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」が、来年1月14日から全国公開される。「ロミオとジュリエット」の純愛の世界から一転、天才数学者の父と娘のきずなを描いている。
天才数学者ロバート(アンソニー・ホプキンス)と、彼を師と仰ぐ娘のキャサリン(グウィネス・パルトロウ)。精神のバランスを崩した父を介護していたキャサリンは、父の死によって生きる気力を失う。葬儀の後、見つかった1冊のノート。そこに歴史的な定理の証明が書かれていた。解いたのは父か、娘か――。
もともとはトニー賞の演劇部門で作品賞などに輝いた戯曲で、ロンドンの舞台ではマッデンがパルトロウを主演に演出した。
「物語は限られた時間の中、しかもとても狭い空間の中での出来事を描いているから、映画の素材としてはとても特異なものだった。だからこそ、特異なものを映画で表現できないだろうかと思った。この作品を映画で表現することはチャレンジであり、興味をそそられるものだった」
舞台に続いて、映画でも起用されたパルトロウは、撮影の前年に自身の父が亡くなっており、その感情を作品に持ち込んだ。
「彼女の女優としての資質、知性が役にとても適切だった。そして、彼女が実生活の中で、父親の介護をしていたことも大きな理由だった。そうしたすべてを役の中に注ぎ込んでくれた。彼女の中には強靭(きょうじん)さと弱くてもろい部分が同居していて、その二面性を存分に表現してくれると思った」
父親役で、「羊たちの沈黙」で有名なホプキンスが、天才ゆえの異常性を鬼気迫る演技で体現する。
「娘と同じように父親にも強さと弱さが共存している。時としてとても威嚇的で、横柄で威張り散らし、半面とてももろくて傷つきやすい。こうした矛盾を表現できる俳優がアンソニーなんだ」
作品は父と娘の関係を軸にしながら、愛する人の出現や姉との関係など、娘が自分自身の人生を見いだしていく葛藤(かっとう)も描かれる。マッデン監督は作品をこう表現した。「父と娘のストーリーから枝葉に分かれて様々な方向へと発展する。まるで数学者の講義を聴いているかのような感覚に陥るだろう」