「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

インド洋大津波1年、人身売買が横行する被災地も

国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 【バンダアチェ=黒瀬悦成】インドネシア・スマトラ島沖地震と大津波から1年。16万人以上が死亡・行方不明となった被災地、ナングロアチェ・ダルサラム州では、地元経済の立て直しが進まず、自力で生活の糧を確保できない女性や子供らを狙った人身売買が目立ち始めている。

 州都バンダアチェから東28キロにある大アチェ県の漁村、クルン・ラヤ。海岸に近い高床式の学校校舎で、22人の女性が一心に中国製の足こぎミシンを走らせる。

 女性らは皆、1年前の津波で壊滅的な打撃を受けた近隣の村の出身。当時、一家を支えていた夫や親を波にさらわれ、生計を立てられなくなった者ばかりだ。

 彼女らは、今月初旬から毎日ここに通い、裁縫と縫い取りの特訓を受けている。1か月の課程を終えれば、バンダアチェの洋品店向けに婦人服などを作って卸し、生活費を得る。

 生徒の一人、スルディアナさん(16)は、「母と妹が津波で死んだ。父は震災のショックで精神不安定になり、仕事が出来ない。残された家族を養うため、早く手に職を付けたい」と涙をこぼした。

 この「裁縫教室」を主宰する国際移住機構(IOM、本部ジュネーブ)によると、プログラムの最大の狙いは「人身売買の防止」だ。

 同州では最近、夫や親を失った女性が「良い仕事がある」との誘い文句で自称「人材紹介業者」に連れ去られ、まともな契約も結ばぬまま売春婦や家政婦、農園労働者として酷使されるケースが増え始めている。

 IOMでは、震災後の1年間で7件の人身売買の事例を確認し、被害にあった女性9人、男性1人を同州の内外で保護した。また、地元民間団体の「児童保護研究センター」の調べでは、隣国マレーシアで、同州出身の未成年の被災者らが業者に年齢を偽った身分証明書を持たされ、レストランで働かされていたことが判明した。

 世界銀行によると、州内の完全失業率は27%で、向こう6~18か月の間に60万人が1日1ドル以下で暮らす貧困層に転落する恐れが高い。こうした中、夫を失ったのにこれまで就労経験のない家庭の主婦や、肉親を亡くした孤児などの社会的弱者は、「人買い業者」にとって格好の標的となっている。

 IOMのポール・ディロン広報官は、「この州は元々産業基盤が弱い上、復興も決して順調ではない。このままでは人身売買の脅威が一層広がるのは避けられない」と警告している。

 ◆出稼ぎミャンマー人犠牲者、進まぬ身元確認◆

 【パンガー県(タイ南部)=太田誠】タイ南部で被災した出稼ぎミャンマー人の犠牲者数はいまだに分かっておらず、身元確認も進んでいない。

 「ここに家があったんです」。津波で村が壊滅したパンガー県ナムケン村。ミャンマー人のマ・ニさん(39)が、野ざらしの平らなコンクリートを指さして言った。

 水産加工場に勤める夫は助かった。だが、津波は娘(10)、4歳と8か月の息子を奪っていった。被災後、いったん母国へ戻り、「子供を捜すため」にタイに戻ったのは3か月前。国際移住機構(IOM)の助力で、我が子を行方不明者として登録できたのはつい先日だ。

 タイ内務省の統計では、パンガーなど4県で、津波前に出稼ぎ労働者として登録していたミャンマー人は約12万人。低賃金で漁業や建設業などに携わっていた人と家族だ。未登録のまま働いていた者も同程度いたとされる。

 IOMはミャンマー人犠牲者について、パンガー県だけでも800~3000人になると見積もる。だが、正式に身元が判明したのは、まだ72人に過ぎない。

 身元判明難航の理由は、ミャンマー人生存者の多くが津波後、自発的に、あるいは当局に送還され、母国に戻るなど出国したためだ。「ミャンマー政府は被災者に何もしない」(関係者)ため、個人が“自力”でタイ政府に捜索を訴えるしかないのが実情という。

 タイでの捜索も、被災者の多くが、指紋などを登録したIDカードを紛失したことなどから難航。さらに、タイでは立場の弱いミャンマー人が、強制送還などのトラブルを警戒して当局と接触せず、DNA検査しない傾向にあることも身元確認を困難にしている。

 タイ国内の身元不明遺体はまだ805体残る。これらの多くは、ミャンマー人ではないかと見られている。

(2005年12月24日22時24分 読売新聞)
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by miya-neta | 2005-12-24 22:24 | 国 際