「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

産経抄 「犯罪被害者等基本計画」

Sankei Web 産経朝刊 産経抄(12/28 05:00)


 大きな事故や犯罪が発生したとき、遺族のもとへ取材に行かされるのはたいてい新米記者だ。めざす家にたどりついても、ぐずぐず自問自答を繰り返す。悲嘆にくれる遺族の心をさらに傷つける権利が自分にあるのかと。

 ▼やっとの思いで呼び鈴を押しても、たいてい応対はない。「帰れ!」の怒声が響くこともある。まれに招き入れられて、話を聞けることもあった。人々の喜びや悲しみに直接触れることによって、記者は成長していく。

 ▼きのう閣議決定された「犯罪被害者等基本計画」には、犯罪被害者の名前を実名、匿名のどちらで発表するのか、事実上警察の判断に任せる文言が盛り込まれていた。これによって、事件取材の様相が一変する可能性がある。

 ▼確かに大勢の記者やカメラマンが、事件の関係者に殺到する集団的過熱取材は目に余った。最近では大事件発生のたびに各報道機関が、節度ある取材を申し合わせているが、被害者側からみれば、まだプライバシー保護が十分ではないのだろう。

 ▼それを承知の上で、警察の判断で取材の機会が閉ざされ、事件の真相に迫れなくなる危険の大きさを強調したい。被害者への取材から、警察の不当捜査が暴かれたこともある。匿名にされると、当局に対するメディアのチェック機能はますます失われる。

 ▼猪口邦子内閣府特命担当相は「被害者が希望すれば実名で発表する」というが、被害者や家族が、警察の意向に反して、実名を希望することは現実的には考えにくい。来年から長者番付もなくなる。クラス名簿を作らない学校も増えているという。個人情報保護の名の下で、社会の匿名化が進んでいる。誰にとって都合のいい社会なのか。高名な政治学者である猪口大臣に聞いてみたい。
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by miya-neta | 2005-12-28 05:00 | 政 治