「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

日本の外交/広い視野から再構築を

河北新報ニュース 社説


 「核テロ」につながりかねない実態が昨年末、相次いで明るみに出た。ロシアに移送されたはずのウクライナの戦術核弾頭250発が行方不明。米ロスアラモス国立研究所では兵器級プルトニウム300キロが行方不明になった可能性がある。

 北朝鮮やイランの核開発を阻む国際社会の努力が続く。その裏で、核保有国が核拡散防止条約(NPT)を脅かすずさんな核管理をしていたとは。世界がいかに不安定で不確かか―といたたまれない気持ちになる。
 平和と安定は日本の存立基盤だ。「八方ふさがり」と批判された外交を強化し、世界や地域の課題解決のため日本流の貢献策を創造してほしい。

 日本は昨年末、イラクへの自衛隊派遣をさらに1年延長した。2003年3月のイラク戦争以来、イラク人の死者は3万人を数え、米軍は2100人を超す死者を出した。開戦の是非をめぐり米世論は分かれ、批判にブッシュ政権も傷ついた。日本が被った影響も小さくない。

 小泉政権は、国連安保理の武力行使容認決議なしに開戦した米を即刻支持し、日米関係最優先へと路線転換した。以来、国連中心主義、アジア重視が影を潜める。多国籍軍参加にもためらいはなかった。「憲法の制約の中で何ができるか」との従来の政治が発想の起点にした慎重姿勢は、いつの間にか「憲法解釈でなんとかなる」という風潮に変化した。イラクの泥沼化した現状や多数の人命が失われた結果にも、戦争を支持したことなども忘れたかのようだ。道義の変質を思わざるを得ない。

 米との緊密な関係なしに戦後日本の発展と安全はなかった。日米同盟重視が日本の国益―であり続けるだろう。しかし、日本の国益イコール日米同盟の論理展開は外交の幅を狭くする。
 国連安保理常任理事国入り、東シナ海の日中資源摩擦などでの行き詰まりも、政治の総合的な戦略があれば、違う展開になったのではないか。

 経済成長の著しい中国、インドに資源大国ロシア。三国は相手の影響力拡大を警戒しつつ経済、軍事の協力関係を強化している。日米関係がしっかりしていれば後はなんとかなると高をくくっていては、流動化するアジアの中で日本の位置を見失うことにならないか心配だ。

 命を一瞬に奪うテロ、途上国の人々を脅かす貧困、地球温暖化など人類の生存にかかわる環境問題をどう解決するか。各国は総論では一致しても各論で利害がぶつかる難問ばかりだ。

 日本は昨年、予想より1年早く人口が減少に転じた。日本の特質、強みを貢献策にどう生かすか、世界2位の経済大国にふさわしい役割をはっきり打ち出せないまま、未知の領域に入ってしまった。広い視野から外交戦略の再構築が急がれる。

 小泉首相は中東和平を働き掛けるため8日にイスラエルを訪問、シャロン氏と会談する予定だった。同氏の緊急入院で中止となったが、今後とも中東和平実現のために働き、日本外交の活性化に努めてほしい。

2006年01月05日木曜日
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by miya-neta | 2006-01-05 09:13 | 政 治