「出産退職増なら出生率低下」 調査機関が推計
2006年 02月 03日
2006年02月03日22時56分
出産退職がこのまま増加すれば、出生率は04年の1.29から20年には1.16まで低下する。こんな推計を、高齢化問題を研究する社団法人エイジング総合研究センターが3日、発表した。退職で所得を失うという現状に手を打たなければ、政府の予測よりさらに急激な出生率の低下を招くと、警鐘を鳴らしている。
同センターでは、20歳代後半の女性が出産・育児のため5年間、仕事を中断したことで失う所得は02年では1828万円と試算。高学歴化による給与上昇などで、この数値が過去30年間で約1.7倍になった傾向が続けば、女性1人が産む子どもの平均数を示す合計特殊出生率をさらに押し下げるとした。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の02年の推計では、出生率が07年に1.30台で底を打ち、20年には1.38まで回復するとした。同センターの推計は、さらに厳しい結果となった。
社人研の元研究員で、推計を担当した加藤久和・明治大学政治経済学部助教授は、出産・育児で失われる所得が1割減れば出生率は20年に1.39まで回復すると試算。「仕事と家庭の両立支援などの政策努力で、出産退職による損失を減らす必要がある」と話す。