「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

問題化する典範改正/拙速も政争絡みもよくない

河北新報ニュース


 皇室典範の改正が次第に政治問題化して熱を帯びる気配だ。
 皇室では秋篠宮さまの後40年間、男子皇族の出生がない。
 現行典範は「皇位は皇統に属する男系の男子がこれを継承する」と定めるから、このままでは皇位継承者がいなくなることさえ想定され、「天皇制の危機」とも言うべき状況だ。

 しかし皇太子夫妻には2001年生まれの愛子さまがいる。
 だから単純には、典範の「男子」を「子」などに改正すれば当面の危機は回避できる。
 ところが小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が昨年末、天皇位の伝統的な継承制度を変更する提言をまとめたため、より深刻な論争の扉を開いてしまった。
 (1)女性天皇を認める(2)その後の女系の継承も容認(3)継承順位も男女を問わず第一子優先とする―との改正案だ。

 歴史上、女性天皇は10代8人の例があるが、後は必ず男系でつないで継承してきた。
 有識者会議の提言通りに改正するなら、天皇制と重なるわが国の歴史と伝統に新たなページを開く大「改革」となるのだ。
 しかしここまでは、天皇制や皇室のあり方をめぐる国民的論議の基礎を築く作業であり、大方の国民は、今後の論議の実りを待って見守っていると思う。
 その論議がここにきて、「改革」を看板とした小泉政権の評価をめぐる政治的対立にのまれそうな状況になってきた。

 小泉首相は昨秋の総選挙で圧勝し、かつてない与党操縦力を握った。しかし欠陥マンション、ライブドア、米国産牛肉の輸入再開と再停止―という規制改革に絡むマイナス面が噴き出した「三点セット」の打撃で政権の勢いを失いつつある。
 典範問題がそこに「とどめ」を刺す政治的ナイフとして使われかねない情勢となったのだ。

 小泉首相は異論が少なくないのを承知で提言通りの改正法案作りを進め、来月中にも国会に提出する―と姿勢を変えない。
 一方、自民・民主などの国会議員173人が署名して「慎重な扱い」を求めた動きは、郵政改革で首相に反対した「抵抗勢力」も加わった背景などから政争絡みの色も帯びる。

 こうした中、三笠宮寛仁さまが「女系天皇を認める前にもっと検討するべきだ」と提言に反対する考えを再三主張。前官房長官の自民国対委員長でさえ「宮さまが否定的見解を公表された影響は大きい」と戸惑う事態になっている。
 私たちはこの問題は拙速や政争絡みは許されず、国会や各界で十分論議を尽くすべきこと、また皇族の意見も聞きたい―などと主張してきた。

 天皇制は数次の歴史的大動乱でも変わらなかった。その伝統や国民性も考えて今を見た場合、根幹を変えるエネルギーの高まりや蓄積はあるのか。愛子さまの継承―女性天皇を認めて当面の危機を回避するのがせいぜいで、歴史的天皇制を変える女系容認となると論議の基礎さえまだ不十分だ。
 功を急がずここは首相も反対側も長考すべき局面だと思う。

2006年02月06日月曜日
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by miya-neta | 2006-02-06 09:46 | 政 治