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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

「会社内弁慶」をなくせ~自分のスキルを見直そう

インテリジェンスの業界レポート


毎日、膨大な仕事をこなして充実した日々を送り、仕事に区切りができたところでステップアップすべく転職活動を開始。ところが活動を始めてみると意外に応募できる企業が少なく、ガク然とする…。こんな体験をする人は少なくない。その大きな原因の一つとして、「社内でしか通用しない仕事をしてきた」ということがある。

「そのスキル、社外で通用しますか?」

実は、「能力主義」「成果主義」「目標管理制度」などといろいろな人事制度が導入されている一方で、職種ごとに「何ができればいいのか?」という点については、漠然とした「暗黙の基準」が存在しているに過ぎない、というのが日本の多くの企業における現実だ。つまり、「いまやってほしい仕事」が膨大にあり、それをやれるかやれないか、で評価が行われたり、異動や中途採用が行われているのである。そのために、社内でしか通用しない書類の作成や調整業務に長けた人材が多数発生して企業の発展を阻んだり、社員自身も「動きたくても行き先がない」という状態に陥る可能性があるのだ。

こういった状況を受け、平成16年2月、厚生労働省は「事務系職務の能力評価基準」を発表した。これは、「人事・労務・能力開発」「経理・財務」「営業・マーケティング」「生産管理」「総務・法務・広報」「物流」「情報システム」「経営企画」「国際事業」という9つの職種について、キャリア形成上の職業能力の段階に応じて4段階にレベルを設定し、職務遂行に必要とされる職業能力を基準として記述したものだ。

「備えあれば憂いなし」、自分のキャリアを再点検

例として挙げられている「経理」を見てみよう。「経理」のレベル1には、3つの基礎能力として「簿記」「財務基礎」「原価計算基礎」が挙げられている。これを「選択ユニット」と呼ぶ。そして一つの選択ユニットごとに必要な知識(簿記であれば「簿記の基本」「取引・仕訳・元帳・試算表」「決算」など)、能力の内容、能力を発揮して遂行すべき職務の基準、が示されている。企業の側はこれに基づいて人材を採用したり、社内育成を行ったり、評価を行うことができるし、個人はこれをもとに自分に足りない能力や知識を認識して、能力開発に生かすことが可能になるという。

厚生労働省では今後、上記の職種だけでなく業種ごとに存在する特有のスキルや能力について業界ごとに基準を策定していく一方、この基準をもとに能力評価ツールを開発し、ハローワークや民間の人材サービス・能力開発機関に開放していく方針で、インターネットから個人も閲覧できるようにする方針だ。

どれほど忙しくても、いやむしろ多忙ならばなおさら、意識的に立ち止まり、「自分には何ができるか?」「それは社外でも通用するか?」と振り返る機会を作るべきだ。これらの能力評価ツールを活用したり、第3者のアドバイスを受けてみるのもよいだろう。「備えあれば憂いなし」、キャリア作りにも有効なことわざである。
by miya-neta | 2006-06-21 14:50 | 社 会