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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

生活保護の不服申し立て、2年で倍増 05年度835件

asahi.com:暮らし


2006年07月17日19時29分

 生活保護の申請を却下されたり、受給額を減額されたりした人が処分取り消しを求める不服申し立ての件数が全国的に増えている。03年度は370件だったのが、朝日新聞社の調べで05年度は835件と2.2倍になった。申請窓口での判断に誤りがあったと裁決される例も少なくなく、市民団体や専門家は「保護世帯の増加を抑えようと、行政の『引き締め』が強まっている」と指摘している。

 厚生労働省は03年度から申立件数を集計している。都道府県別には出しておらず、全国では03年度の370件から04年度は1029件に急増。今秋にまとまる予定の05年度分について、朝日新聞社が47都道府県に取材したところ、合計は835件だった。一方、生活保護世帯数は03年度が約94万、05年度(06年2月現在)は約105万だった。

 不服申し立てが増えた背景には、原則70歳以上の受給者に上乗せして支給されていた「老齢加算」が、04~05年度にかけて段階的に削減されたこともある。低所得者の生活改善に取り組む市民団体「全国生活と健康を守る会連合会」(東京)は、この問題での申し立てが2年間で計1000件を超えているとみている。

 申し立てた人の訴えを認めた裁決は03年度が46件、04年度は57件、05年度は39件。特に「働く能力を十分に生かしていない」とした窓口の判断を誤りとする裁決が多い。

 裁決事例を調べている花園大学の吉永純・助教授(公的扶助論)によると、熊本市で03年、弁当製造業で週5日働いていた50代の女性が「4万~7万円の月収では生活できない」と生活保護を申請。有効求人倍率が0.59~0.62倍だったにもかかわらず、市は「働く能力を十分に生かしていない」として申請を却下した。

 大阪府大東市でも同年、リウマチで日雇い仕事ができなくなった男性が生活保護を申請したが、市は「妻や長男が十分に働いていない」として却下。いずれも不服が申し立てられ、裁決で却下処分が取り消された。

 吉永助教授は「本人の十分な努力や、雇用情勢の冷え込みを考慮していないケースが目立つ。グレーゾーンが広く、行政が恣意的(しいてき)な判断で保護を切っている」と指摘する。

 厚労省は今年3月、厳正な審査を改めて自治体に求める手引をまとめた。生活保護行政の「適正運営」を目的に「受給者の詳しい就労状況の把握」などを求めているが、福祉関係者は「現場を締め付ける内容だ」と受け止めている。

 〈生活保護の不服申し立て〉 生活保護の申請却下や、受給中の停止・廃止といった処分に不服がある場合、都道府県知事に取り消しを求める申し立て(審査請求)をすることができる。知事は50日以内に「棄却」「処分取り消し」などの裁決をしなければならない。生活保護費の基準額は地域によって異なる。東京23区では04年度、68歳と65歳の夫婦の場合、月額12万1940円(医療費・住宅費など除く)。70歳以上の受給者に上乗せされる「老齢加算」は月額1万7930円(03年度)だった。
by miya-neta | 2006-07-17 19:29 | 社 会