紀子さま「帰ってまいりました」手術室出られ秋篠宮さまに
2006年 09月 06日
2006/09/06 16:35
列島各地に喜びと安堵(あんど)の声が広がった。秋篠宮ご夫妻に6日、待望の第3子が誕生した。年始めにそろってコウノトリの歌を披露されたご夫妻の願いが通じたのか、授かったのは元気な男の子だった。眞子さま、佳子さまにとっても、待ちわびた弟だ。入院以来連日のように、紀子さまを見舞われた秋篠宮さま。お二人で初めての帝王切開の不安を乗り越えられた。旅先で朗報を受けられた天皇、皇后両陛下にも、周囲から祝福の声がわき起こった。
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宮内庁によると、無事に出産を終え、手術室を出られる紀子さまを出迎えた秋篠宮さまは「ご苦労さんでした」と声をかけられた。紀子さまは「帰ってまいりました」と答えられた。このあと新宮さまと対面された秋篠宮さまは、「オギャー」と泣く姿を見つめられていたという。
紀子さまは、2月に判明したご懐妊について「新しい命を授かったことに感謝したい」と親しい人に話されたという。初めて経験する帝王切開、皇室典範改正にからみ男子を期待される重圧をいつものほほ笑みに隠してこられた。
部分前置胎盤の診断を受けた7月、紀子さまは自ら皇后さまに「帝王切開することになりました」と報告された。「大変なことなのに、あんまりおおらかに話すものだから、そのことの方が驚いてしまいましたよ」。皇后さまは後日、笑って友人に明かされたという。
正常な状態に比べて、なかなか増えない胎児の体重。時折起きる心拍数の低下。出血の危険性との闘い。実は「(紀子さまが)神経質になり、いらいらされることもあった」と関係者は明かす。
だがそんなとき、毎日のようにお見舞いに訪れられる眞子さまから、8月に行かれたオーストリアでのホームステイのお話を聞いたり、佳子さまが病室で宿題をされるのを見たりすることで、気分を取り戻し、心を落ち着かされていた。
また、皇后さまから度々、花やスープの差し入れを受け、8月26日には天皇、皇后両陛下が見舞いのため訪問されたことで、大変勇気づけられたという。
ただ、最も大きかったのは秋篠宮さまの存在だった。生物学者でもある宮さまが医学的な視点で冷静に対応され、励まし続けられたという。
両陛下が宿泊されている札幌市内のホテルにはこの日、早朝から多くの市民が集まった。午前10時、ホテルの玄関から濃紺のスーツ姿の陛下とクリーム色のスーツを着た皇后さまが玄関のロビーに姿を見せられると、つめかけた市民から「紀子さま、ご出産おめでとうございます」と大きな歓声があがった。
両陛下は市民らに、にこやかにほほ笑みながら右手を振り、会釈して歓声にこたえられた。
この日は、「国際顕微鏡学会議」にご出席。展示会場の札幌コンベンションセンターには10時15分ごろ到着された。センターの前にも多くの市民が集まり、会場玄関を歩かれる両陛下は「おめでとうございます」の声に、何度も繰り返し振り向かれ、笑顔で手を振られた。
<産経新聞>