「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

【コラム・断】傷ついてこそ大人になるの!~さかもと未明

本・アートニュース:イザ!

2006/10/14 09:25

 先般、小学生がいじめを苦にして自殺したその原因を、教育委員会が1年近く隠蔽したとして問題になった。巷間(こうかん)でいわれる通り、もし学校側が「子供から加害者を出してはならない」と考えたのだとしたら、百歩譲ってその気持ちをくめないこともない。ただ、悲しい選択だ。果たしていじめがなかったことにすることが、本当に残された子供たちのためになったのだろうか。

 しばしば大人たちは子供を傷つけないようにと躍起になる。しかし私たちは、傷つかず、失敗もせずに大人になることが可能なのだろうか。

 否である。そんなことは不可能であるし、もし可能だったとしたら極めて危険なことである。その子は人を傷つけることの罪深さも、自分が傷つけられたときの立ち直り方も、悪事に誘われたときの断り方も知らずに大人になることになる。

 子供のときにできる限りの失敗をさせて、時には傷つく子供を遠くから見守ってやるのが、大人が子供にできる教育の第一歩ではなかろうか。臭い物には蓋(ふた)とばかりに目隠しをして育てるのは、随分子供を馬鹿にしたやり方だ。

 子供はいずれ大人になるのである。そのとき、ちゃんと責任がとれるよう、人に思いやりが示せるよう、身につけさせてこその教育ではないのか。それは、本人の感情と体に経験させることでしか教えることはできない。

 今回のことは「子供のため」といいながら、大人が悪と向き合うことから逃げたのだと私は思う。「あるものを見ないようにする」ことが、子供たちを最もたやすく罪に導くという現実を、忘れてはならないと思う。(漫画家・さかもと未明)

<産経新聞>
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by miya-neta | 2006-10-14 09:25 | 国 際