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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

利き脳のプロフィールを推定する

利き脳のプロフィールを推定する : 「利き脳」でプロデュース | Wisdom


- 第2回 -

利き脳のプロフィールを推定する


「ハーマンモデル」を活用してプロフィールを推定する

第1回では、私たちの脳も、自分の得意不得意や好き嫌いなど、思考の特性で「利き脳」があることをご紹介しました。

ご自分の「利き脳」の測定やチームビルディングのためには、「ハーマン脳優勢度調査(Herrmann Brain Dominance Instrument)」をベースに、個人や組織の思考様式を定量化することが望ましいのですが、今回は、調査を行うことのできない人物を想定することで、プロフィールを推定する方法をご紹介してみます。

「ハーマン脳優勢度調査」の場合、ご自身の特徴を良くあらわす"基本的描写語"や現在従事している"仕事の要素"、"得意科目、教育、職業、趣味"、"利き手や言語中枢"、"エネルギーレベルや乗り物酔い"、さらに"内向的/外交的な"など多岐にわたる特性を170項目からなる設問で調査していきます。利き脳の特性は、通常の思考の特性や好みに加え、体の動かし方や言語活動などいろいろな影響を受けています。そのため、本人が意識していない要件も含め、多岐に渡る設問を分析することが必要になります。

一方、ハーマン脳優勢度調査を用いないで、個人の特性を推定することを「プロフォルマ・プロフィール」と呼びます。プロフォルマ・プロフィールは、個人のデータが入手できない場合に、ハーマンモデルの比喩技術を用いて、思考優先度プロフィールとして推定・定量化するものです。そのために、個人や組織の「行動」、「イベント」、「書物」、「物事」から比喩を行っていきます。
少し、難しく書きましたが、つまり気の合わない上司や顧客などのプロフォルマ・プロフィールを推定して、次回の戦略を考えるのに役に立つと考えてみてはいかがでしょうか?

プロフォルマ・プロフィール

プロフォルマ・プロフィールの実践方法をご紹介していきましょう。では、早速ここである人物を想定して、下記の【描写語によるチェック項目例】から該当する比喩をチェックしてみてください。職場の上司や同僚を思い浮かべるのも良いですし、もちろんご自分のチェックは一番はじめに行っておくことも重要です。



【描写語によるチェック項目例】
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ここでは、特徴的な描写語を抜粋してご紹介しましたが、これらを手がかりに想像した人物に当てはまる内容から傾向を読み取ることができます。
ハーマンメソッドでは、4つの象限であらわす"利き脳"の中で、最もポイントの高いところを『優先』と言います。つまり、自分の思考にあっており得意で好きな行動様式なので優先的に行う傾向があります。
次に、優先ほどではないが機能している場合は、『使用』と呼んでいます。
そして、自分が苦手だったり、好まない行動様式は、避ける傾向にあり『忌避』と呼びます。
A,B,C,Dの4象限に対して、それぞれ優先、使用、忌避の度合いによって、何通りもの利き脳の傾向が特徴付けられるのです。ただし、個人のプロフィールは、時間によっても変化しますし、職場での立場などでももちろん変わることがあることを念頭において試してください。

ここで簡単なプロフィールの推定例もご紹介してみましょう。普段の行動からもプロフィールを推定することができます。

【プロフィールの推定例】

山田は、時計を何度も見ていたが、メンバー5名が揃い10時ジャストになったのを確認し、資料をきちんと配った。
「定刻になりました、これから新製品の企画会議を行います。企画案を作成した佐藤さんから説明をお願いします」。
佐藤は、早口に説明をはじめた。
「市場データをかなり分析して作成した案なので、自信があります」。
佐藤は、統計的な手法を用いて詳細に分析したデータを紹介しながら新製品の市場性について解説した。
説明が終わると近藤は、真っ先に意見を述べた。
「この案に加え、業界でも最先端の技術を加えるべきだ。世界初の製品として売り出せる工夫が必要だと思う」と。彼は発想が豊かで物事の本質を把握するのが得意だが、時として人とは異なる意見を言うことがある。
川中は、佐藤の説明を良くうなずきながら聞いていた。そして皆の様子を見回してから「消費者の満足度の点からも期待できる製品だと思います」と佐藤を気遣うような発言をした。

このように、ごく短い会議のやり取りの中にもそれぞれの利き脳の特性をうかがい知ることができます。
山田さんの特徴は、時計を何度も確認して定刻を気にするなどなど時間厳守で、スムーズな進行や段取りにこだわる傾向からB象限の優先の特徴を示しているため、B優勢の人物だと想定できます。
それに対し、佐藤さんは、数字や統計的なデータや裏づけを重視し、論理的で自信を持った話し方が特徴のため、A象限が優先する傾向があります。
近藤さんは、人よりの真っ先に意見を述べ最先端のものに大きな興味を覚えているようです。また、他人からは発想が豊かだったりユニークな人、物事の詳細ではなく本質の把握が得意だと思われているようですから、D象限が優先する傾向が考えられます。
そして、川中さんは、人とのコミュニケーションを重視するため人の話にうなずいたり、周りの様子に気を配る特徴があります。また、消費者視点(相手の立場)を重視する傾向もC象限を優先する人の典型的な特徴です。


対顧客や職場でどのように活用したらよいか

このようにプロフォルマ・プロフィールで、自分や対象となる人物がおおむねどのような傾向のプロフィールかわかったら、どのように活用していくことができるでしょうか。実は、気の合わない対象者やなかなかプレゼンを受け入れてくれない顧客への対策に活用することは難しくはありません。

もしも、あなたはD象限が優先するタイプで、相手の顧客がA象限優先のタイプだった場合、おおむねあなたのプレゼンテーションは、まったくアピールしません。Aタイプにとっては、あなたの資料は、全体論的で概念的過ぎるので、具体性や現実性に欠けており、特に数字やデータの裏づけも弱いといった印象をもたれている可能性が高いのです。
また、あなたはB優先で、上司がD優先タイプだった場合は、あなたの資料は詳細すぎて、全体の目的や最終ゴールが見えないものと受け取られている可能性があります。

普段から、皆さんは人を説得することに対して、だいたいの感覚を持ち、漠然とした傾向と対策は行っていたはずです。しかし、このように相手のプロフィールがある程度明確になっている場合は、その思考特性や「利き脳」に直接アピールできる手法を選択して準備することができます。

次回は、プロフィールによる、具体的なマネジメントスタイルの違いをご紹介します。
ぜひ、プロフォルマ・プロフィールを用いて、苦手な対人関係の克服や次なる施策のアプローチにハーマンメソッドを取り入れてみてはいかがでしょうか。

(2006年10月10日公開)
by miya-neta | 2006-10-10 07:47 | 科学/技術