人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

敬語5分類、影響は? 文化審議会「指針」

asahi.com:暮らし


2007年02月03日07時31分

 敬語の基本的な考え方や具体的な使い方を示す「敬語の指針」が2日決まった。人間関係が変容し、国民の多くが使用に困難を感じている中で、今後は「よりどころのよりどころ」としての機能が期待される。一般には従来の3分類から5分類への転換が強く印象づけられており、学校教育への影響にも関心が集まる。

 ●「グレーゾーン減る」

 昨年7月に開かれた文化審議会の第8回国語分科会敬語小委員会。「敬語の仕組み(たたき台)」が配られ、5分類が初めて姿を現した。

 作家の阿刀田高さんは「読んだだけではなかなか分からない。必然性はあるはずだが、会議にずっと出席していても分かりにくい」。「(教育)現場を考えると心配」との声も出た。蒲谷宏・早稲田大教授は「3分類では見えないものが5分類にすると見えてくる」と説明。結局、5分類が基本線として了承された。

 小委員会の下のワーキンググループで計43回、約160時間もの議論を重ね、たたき台を作った敬語学者らの熱意が、小委員会を動かした形だ。

 学者の間で敬語の分類論は数多い。蒲谷さん自身は昨年、共著で「尊重・丁重・尊重丁重・美化・尊卑・文体語」の6分類を提案した。大勢は今回の5分類。一連の議論では、別の国語学者の「学生に敬語を教える時、3分類による説明ではグレーゾーンが20%も残る。5分類ならば5%に減らせる」という説明も説得力があった。

 10月の国語分科会総会では「5分類はショッキングと表現しても過言でない」といった声はあったが、学術的に正当ならば会の総意として打ち出すという意見が強まる。

 文化庁が年末に指針案を公開して意見を募ったら、5分類については賛否がほぼ半々。これを受けた小委員会では「分類が目的ではないことをことさらに打ち出すべきだ」との声があった。

 そして今年1月の国語分科会総会。この時点で指針案には3分類を基本とするという意味の記述がまだ残っていた。だが、阿刀田さんは「5分類が基本という立場が今回の答申。思いきって5分類を打ち出したい」と主張。3分類が基本との表現は姿を消した。

 ●「子どもは区別難しい」

 子供も敬語は苦手だ。指針を学校教育にどう反映させるかは大きな課題となる。東京都目黒区立第8中学校の松村由紀子校長は国語分科会漢字小委員会委員だが、敬語にも関心が深い。危機感があるからだ。

 「言葉がやせ細る時代に中学生は敬語を使い慣れていない。最大の原因は携帯。場の雰囲気に関係なく相手とつながり、周囲への配慮は薄れ、敬意表現は失われる」

 中学2・3年の国語科の学習指導要領には「敬語についての理解を深め生活の中で適切に使えるようにすること」とある。だが同校の場合、敬語学習は3年時に2時間ほど。私立高校の入試に備えた面接練習が、敬語の練習も兼ねている。

 安倍首相は先月の施政方針演説で、学習指導要領の改訂で国語力の育成などに取り組むと述べた。「敬語の指針」はそこにどうかかわるのか。

 同小委の委員で、中央教育審議会の国語専門部会で主査も務める甲斐睦朗・京都橘大教授は「学習指導要領の改訂で敬語は漢字と並ぶ重要な課題になると思う。答申は前向きに受け止めるが、小学校で5分類を教えられるかと言えば問題はある。謙譲語1、2の区別は中学でも難しいだろう」と話す。

 松村さんは願う。「『敬語の指針』は子供が周囲に配慮した敬語が使えるための本当のよりどころになってほしい。テストであからさまに謙譲語1と2を分けよ、なんていうのだけは困る」
by miya-neta | 2007-02-03 07:31 | 教 育