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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

いじめと教育委員会(2) 小規模、危機管理に限界

教育ルネサンス : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 小規模な教育委員会の危機管理はどうあるべきなのだろうか。

 福岡県筑前町の教育委員会で、学校教育全般を担当する教育課の職員は、井上博行課長(57)以下6人しかいない。この4月から1人減った。自殺事件での増員分を減らした形だ。

 筑前町は、旧夜須町と三輪町が合併して2005年3月にできた。人口は3万人近く、管轄する学校数は小中計6校。教育委員会事務局の職員は総勢でも20人に過ぎない。

 教育課には、昨年度から小学校教頭経験者が初めての指導主事として入ったが、他は学校現場を知らない部局からの出向者ばかりだった。

 そんな町の町立三輪中学校2年、森啓祐(けいすけ)君(当時13歳)が自殺したのは06年10月11日。上着のポケットや学校の美術室などからは「いじめられて、もういきていけない」などと書かれた遺書4通が見つかった。

 しかも、1年時の担任だった男性教諭(48)による森君を辱める言動が繰り返されて、生徒間のいじめに発展したことが判明した。

 当時の合谷(ごうや)智校長(52)も「教諭の言動が自殺につながったと認識している」と遺族に因果関係を認めた翌日、一転して「教諭の言動がいじめの誘因になったが、自殺と結びつけるのは危険」と否定するなど、発言に一貫性がなく、遺族や世論の反発を招いた。

 「連日の対応で判断が鈍り、雰囲気にものまれて思わず口にしたが、後で冷静になり、因果関係はまだ分からないと思い直した」

 合谷・元校長は当時のことを、こんな風に説明する。

     ◎

 「当初から年末まで、教育長や私や指導主事が、毎日のように学校に詰めていた」と町教委の井上課長。県教委の北筑後教育事務所からも指導主事ら常時3~5人が応援に入る体制が組まれた。

 しかし、迷走は、いじめの実態を調べるためのアンケートでも続いた。

 自殺の翌日、全校生徒に記名式による調査を実施したことで、「生徒の本音が聞けるのか」と遺族から批判され、4日後、無記名でやり直した。その調査も、11月7日に出来た第三者による調査委員会から「時期・場所が特定できない」と批判され、調査委自身が3度目の調査をすることになった。

 「基本的に何事も最終決定は校長が行った。そういう仕組みになっている」と関係者は異口同音に言う。現場では一緒に相談しながら対応を決めることもしたが、県教委は町教委に、町教委は学校に、あくまでも助言をする立場を守った。

 一方、「毎日がその場その場での対応だった。問題に対応できる専門的な人がいてくれたら」と合谷・元校長は振り返る。

 県教委は、スクールカウンセラーの派遣や難航する調査委の人選にも関与、11月中旬からは教頭を派遣して2人教頭制で実務を回すよう促した。

 しかし、学校の支援態勢は、十分だったとは言えない。(野口賢志、写真も)

 小規模教育委員会 政府の教育再生会議がまとめた教育委員会見直し案では、人口5万人以下の自治体の教育委員会には、原則的に共同設置を求め、統廃合を進めることが提示された。現在、国会で審議中の地方教育行政法改正案には、「共同設置その他の連携を進め、地域の教育行政の体制整備に努める」という努力規定が盛り込まれている。

(2007年5月2日 読売新聞)

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by miya-neta | 2007-05-02 09:00 | 教 育