「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

年金記録問題/泥縄的対策で解決できるか

河北新報 コルネット 社説


 社会保険庁改革関連法案の審議と絡んで、社保庁の年金記録管理のずさんさや年金制度の欠陥があらためて浮き彫りになっている。
 とりわけ大きな問題は、基礎年金番号に統合されていない納付記録が5000万件もあり、受給漏れの人が多数いる可能性があることと、受給漏れが分かっても時効のために、本来の受給額との差額を5年間分しか受け取れない人がいることだ。

 この問題に対し、安倍晋三首相は25日の衆院厚生労働委員会で、時効を撤廃する方針を表明。柳沢伯夫厚生労働相は、すべての年金受給者に記録を送付して本人に確認を求める対応をとる考えを示した。
 時効による不利益を解消することや、受給漏れがないか確認することは当然の措置だ。

 だが、こうした泥縄的な対策で、年金の受給漏れを完全になくすことができるのか。5000万件に上る納付記録の処理がどこまで進むのか。極めて心もとないと言わざるを得ない。
 対象者不明の納付記録がこれほど大量にある原因には、社保庁や厚労省の見通しの甘さ、対応のまずさ、怠慢などさまざまなことが挙げられるだろう。

 かつては国民年金、厚生年金など年金制度ごとに加入者の年金番号が付けられ、転職や退職などによって加入年金が変わると、一人で複数の年金番号を持つことになっていた。
 その制度が1997年に、各年金共通の基礎年金番号に改められたことから、複数の年金番号を持つ人については、納付記録を基礎年金番号に統合する作業が必要となった。

 納付記録の氏名、性別、生年月日の3項目が基礎年金番号の記載と一致すれば同一人物と特定される。だが記載漏れや誤記などがあれば特定は困難だ。
 当然、大変な作業が求められるが、十分な体制を整えて制度改正に踏み切ったとはとても言えない。

 納付記録が統合されなければ、本来の受給額よりも減ることになる。受給資格に満たなくなるケースが生じることも考えられる。
 それにもかかわらず統合のために懸命な努力をしてこなかったのは、記録漏れの解消は加入者本人の責任という姿勢があったからだろう。

 年金記録の再確認でも同じような姿勢を続けたのでは、受給漏れをなくすことはできまい。膨大な記録ミスが存在することを前提に、社保庁自らの徹底した調査や、申し立てなどに対する柔軟な対応が必要だ。
 与党は25日、年金記録問題は決着したとして委員会質疑を打ち切り、社保庁改革関連法案を賛成多数で可決した。

 法案は、2010年に社保庁を廃止して非公務員型の公法人「日本年金機構」を創設、年金業務を広く民間に委託する内容となっている。
 社保庁を解体することに異存はない。しかし、年金記録問題がこれで決着したわけでなく、組織を一変することで問題が解決できるとも思えない。さらに徹底した審議を求めたい。

2007年05月26日土曜日
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by miya-neta | 2007-05-26 08:46 | 政 治