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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

相談次々「救われた命も」 赤ちゃんポスト1カ月

中国新聞ニュース


'07/6/10

 親が育てられない赤ちゃんを匿名で受け入れようと、熊本市の慈恵病院が国内初の「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)を運用して十日で一カ月。「命を救う最終手段」「子捨てを助長する」と議論が続く中、初日に三歳ぐらいの男児が預けられる「想定外」の事態も起きた。

 病院や設置を許可した熊本市には、妊婦らの切実な声が次々と寄せられ、最大の目的は相談してもらうことだとする関係者は「救われた命もあり、設置には意義があった」(蓮田太二・慈恵病院理事長)と受け止めている。

 五月二十六日に熊本市内で開かれたフォーラム。「生まれた子は穴を掘って埋めよう、と思いながらも電話してきた方が二人いた」。蓮田理事長の言葉に、会場は静まり返った。

 報告によると、相談してきた熊本県外のある女性には離婚歴があり、三人の子どもがいた。結婚予定の男性と同居、妊娠していたが、男性は妊娠三十九週になって急に行方をくらましたという。

 「育てられない。どうしよう」。ある日の夕方、病院の相談電話に女性の追い詰められた声。「すぐにおいでください」と、職員に促された女性は五時間後に病院へ駆け込み、その一時間後に出産した。

 未成年での妊娠、経済的困窮、男性の不在…。運用開始から七日までに慈恵病院にあった相談は九十一件。講演の依頼も多い。「学生が研究テーマにしたい、と訪ねてくる。社会が命について考えるのに一石を投じた」と田尻由貴子看護部長は喜ぶ。

 この一カ月間にも、全国では子どもへの虐待や遺棄事件が相次ぎ発覚。大阪府では一歳男児をバイクのヘルメットの収納スペースに入れて死なせたとして母親らが逮捕され、東京都内のごみ捨て場には生後間もない女の子が放置された。

 厚生労働省は全国の自治体に相談窓口の周知を呼び掛けているが、取り組みはまちまち。都の担当者は「相談する力もない孤独な母親に、どう情報を届ければいいのか」と悩む。

 ポストの運用を機に、熊本市は妊娠に関する悩み相談の態勢を拡充し、二十四時間の電話相談を開始。相談を呼び掛けるポスターやカードで周知を図った。約一カ月で昨年度一年分に相当する百件を超える相談が寄せられた。幸山政史市長は「問題の根深さを物語っている。こうした取り組みを熊本だけでなく全国にも広げてほしい」と訴えている。
by miya-neta | 2007-06-10 08:19 | 社 会