「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

年金検証、霧中の船出 委員会、原因追及「どうすれば」

asahi.com:暮らし


2007年06月15日03時08分

 大事な年金記録がなぜ、宙に浮いたり消えたりしてしまったのか。社会保険庁のずさんな年金記録管理の原因解明や責任追及を担う総務省の「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)が14日、初会合を開いた。歴代の厚生相・厚生労働相や社保庁長官の責任問題も含めて議論され、今秋までに最終報告をまとめるが、真相解明のハードルは高そうだ。

 「年金の根幹を揺るがしかねない異常な事態。二度と起こらないように徹底的に検証し、うみを出してほしい」。参院厚生労働委員会が終了して間もない午後6時。検証委の冒頭、菅総務相はこうあいさつした。

 委員からは「5000万件、1430万件という途方もない数字に国民はショックを受けている」「国民の理解を得る努力が決定的に不足している」などと厳しい指摘が相次いだ。

 松尾座長は会合後の記者会見で「必要があれば(歴代の厚相や社保庁長官に)事情を聴く。聖域はない」と明言。1カ月後をめどに中間報告を公表する考えを示した。

 検証の焦点になりそうなのが、80年前後を中心にした年金記録のコンピューター入力だ。手書き台帳の入力にアルバイトを大量動員し、入力ミスや入力漏れが発生した。さらに85年に社保庁は国民年金台帳の大半の破棄を現場に指示。原簿にさかのぼっての記録の修正が難しくなった。

 97年の基礎年金番号制度導入後、記録の統合が不十分だったため、5000万件もの「宙に浮いた記録」が残った。「45分端末操作をしたら15分休憩」といった労使間の「覚書」が、効率的な記録管理を阻んでいなかったかも議論されそうだ。

 しかし、委員会内部では、最初から困難が予想されている。

 「問題の端緒ははるか以前にさかのぼる。どこで線引きし、原因を追及するかは非常に難しい」。ある委員会関係者は打ち明ける。当時の職員の多くは退職しており、任意でどこまで聞き出せるかは不透明。政府・与党の批判の矛先は歴代の社保庁長官らに向かうが、道義的な責任や監督責任以外で、具体的な責任をどう問いつめていくかは容易ではない。

 関西テレビの「発掘!あるある大事典2」捏造(ねつぞう)問題や、西武ライオンズの裏金問題など、検察OB「ヤメ検」が仕切る調査委員会が続いた。今回も「信頼回復のため、座長に検察OB、特に総長経験者を推薦してほしい」と、菅総務相が法務省に積極的に働きかけたとされる。

 だが、実動部隊の総務省行政評価局からは「突然降ってわいた仕事にどこまで対応できるか。選挙向けと言われても仕方ない」と冷ややかな声も。年金は国民一人一人にかかわる問題だけに、委員の中からは「安易に結論づければ国民は納得しない」と心配する声も聞かれる。

■厚相経験者 責任論「馬鹿なこと」

 「どこに責任があるか徹底的に調べないといけない」。14日の参院厚労委で、安倍首相は検証委の役割を力説した。

 検証委は今秋にも報告書をまとめる方針だが、歴代の厚相と社保庁長官の責任をどこまで追及するかが最大の焦点だ。

 そもそも首相は、年金記録問題の責任は、基礎年金番号を導入した時の厚相である菅直人・民主党代表代行にあると批判。自民党も菅氏批判のチラシを10万部作り各都道府県連に配布した。

 ところが、これが世論の反感を買ったこともあって「菅氏だけに責任を押しつけるつもりはない。歴代の大臣の責任も検証する」(中川秀直幹事長)という流れに。

 しかし、調査対象となる厚相経験者からは不満の声が上がる。

 ある経験者は調査について「馬鹿なこと言うな」と一蹴(いっしゅう)。別の元厚相も、首相が自民党の社会部会(現厚生労働部会)会長だったことを指摘。「だったら、歴代の社会部会長の責任はどうなんだ」と吐き捨てる。

 13日夜、東京都内で開かれた自民党議員の会合。中川氏が元厚相の小泉元首相を前に「歴代の社保庁長官の退職金は返還させる。場合によっては歴代厚相の給料も返してもらう」と発言。小泉氏が冗談交じりに「オレ金ないよ」と応じると、中川氏は「党で持ちますよ」。

 ある厚相経験者は「まず社保庁長官、次に菅氏を呼んで……なんてやっているうちに立ち消えになっちゃう」。自民党執行部の一人も「参院選前だから色々言うけど、選挙が終われば『何のことだっけ?』となるよ」。参院選が終われば、うやむやになるのではないかとの見方だ。

 首相は14日の参院厚労委の答弁でこうも語った。「みんなが責任を共有し合うことが大切」

■厚労省 作業ノータッチ「静観するしか」

 「検証委の結論に私たちがおこがましいことを言うのはありえない」

 厚労省の辻哲夫事務次官は14日の記者会見で、こう神妙に語った。同委の作業に一切干渉せず、全面的に従う考えだ。

 年金記録のぞき見、裏金作り、収賄事件、保険料の流用……。04年に不祥事が次々に発覚し、厚労省は昨年の国会に社保庁改革法案を提出したものの、国民年金の不正免除問題で廃案に。今国会に出し直した解体法案の審議中に、今度は年金記録問題が噴き出した。

 歴代社保庁長官の責任問題にまで発展するなかで、厚労省にとって「事態は制御不能。静観するしかない」(幹部)。

 支払ったはずの保険料に見合う年金が給付されないという深刻な事態について、元社保庁長官の一人は「在任中に年金記録を庁内で議論した記憶がない。こんな問題が存在すること自体、認識がなかった」と明かす。

 この元長官は、年金の複雑な制度設計を行うキャリアを人事などで厚遇する「制度政策偏重・実務軽視」の風潮が、問題の根本にあると指摘。

 「実務に疎い私のような者に、(退職前の)最後の1~2年だけ長官をさせる。そんなことが続けば、現場を担う職員たちが『自分たちだけで適当にやろう』という気持ちになっても不思議ではない」
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by miya-neta | 2007-06-15 03:08 | 政 治