「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

【コラム・断 評論家・潮匡人】論理破綻した主張

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 7月23日付本紙「正論」欄で岡本行夫・元首相補佐官が「なんのための教科書修正か」と題し、こう主張した。

 「そもそも、私にも『軍命令による集団自決』は、教科書にわざわざ書くほどの事象だったのかという疑念はある。しかし、既に書かれていた教科書の記述を、論争のある時に修正することは、『軍の関与はなかった』とする史観を新たに採択した意味を持つ」

 「軍命令による集団自決」を修正することが、なぜ「軍の関与はなかった」ことになるのだろうか。論理的にも「関与」はあったが「命令」はなかった可能性は成立する。

 現に、大江健三郎著『沖縄ノート』(岩波新書)で指弾された赤松嘉次氏は「軍命令」を否定する。集団自決を取材した曽野綾子氏も「『赤松氏が、自決命令を出した』と証言し、証明できた当事者に一人も出会わなかった」と証言する(『沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実』WAC)。

 何のための教科書修正か。真理のため、反軍感情で歪(ゆが)んだ歴史認識を是正するためである。当事者が否定し、肯定する証拠がない以上、修正は当然の措置である。

 岡本氏は「事実関係が問題ではない」「歴史をどんな主観で語るかが焦点」と訴えるが、「どんな主観で語る」にせよ、事実関係は重要である。仮に、軍命令が証明されれば、むしろ「教科書にわざわざ書くほどの事象」であろう。氏の「主観」にも疑問が残る。

 今回、読者の声援を頂き、当欄に復帰することになった。光栄である。私は本紙「正論」路線に共鳴しているが、23日付「正論」には、疑問と失望を感じた。(評論家・潮匡人)
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by miya-neta | 2007-07-31 05:54 | 政 治