「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

自民総裁選:「国家論」「宰相論」で論戦…公開討論

政治:MSN毎日インタラクティブ


 自民党総裁選の候補者、福田康夫元官房長官、麻生太郎幹事長による公開討論会は、政策だけでなく、日本が「誇れる国」かをめぐる国家観や、安倍晋三首相への評価などリーダー像をめぐる論議で盛り上がった。小泉構造改革、対北朝鮮政策などでも違いをのぞかせる両氏だが、安倍首相の「美しい国」に代表される国家主義的な政治潮流への評価も、総裁選びの隠れた焦点であることをうかがわせる論戦となった。【尾中香尚里、鬼木浩文、堀井恵里子】

 ◇「誇れる国」…福田氏「将来は」、麻生氏「現在も」

 「麻生候補は『誇れる国、日本』というキャッチフレーズを掲げています。これは将来誇れる国だと理解していますがそうですか」(福田氏)

 「『誇れる国』というのは短期の目標であり長期の目標でもある。現在も誇れる国なんだということに、もっと自信を持つべきだ」(麻生氏)

 討論会で最も両氏の論争が白熱したのは今の日本が「誇れる国か」との論争だった。

 仕掛けたのは福田氏の方だ。タカ派色の濃い町村派に所属しているが、仮に首相に就任しても靖国神社を参拝しない方針を表明するなど、ナショナリズムを連想させる行動には慎重な立場で知られる。この点、「美しい国」を掲げた安倍首相とは大きく異なる。

 一方、麻生氏は「誇れる国、日本」というキャッチフレーズを街頭演説などで掲げ、「とてつもない日本」という著書を出版するなど国家と日本の現状への自信を強く意識した発言が目立つ。討論会で「天皇家にあっては男系の皇統をずっと維持している。我が国の歴史には、おかげさまで1本、太い大黒柱が通っている」とも語った。

 「誇れる国か」の評価は、日本の現状分析への違いに反映する。福田氏が「現状は肯定したいが、肯定しきれないところが出てきている」と控えめに評価したのに対し、麻生氏は「あまり悲観主義に陥ることはない。日本人に対する信頼をきちっと持って政治に取り組みたい」と強調した。

 福田氏はODA(政府開発援助)の減額を引き合いに、前外相の麻生氏に「誇れる国か」と見解をたたみかけたが、麻生氏はホンジュラスで算数の教科書をつくった青年海外協力隊の事例を挙げて「カネも大きいが、他のものも大きく評価されてしかるべきだ」と譲らなかった。

 結局、「これから本当に誇れる国になるかが問題だ」と食い下がる福田氏を、麻生氏は「そういう自虐史観に基づく考え方は私の哲学と合わない」と一蹴。「すぐに自虐史観と切り捨てるのは問題がある」と不快感を示す福田氏に、麻生氏も「脈々と続いてきた伝統は誇れるものだ」と応酬するなど、「誇れる国」論争はヒートアップ、会場には緊張が走った。

 突然の総裁選で両氏の政策的な違いがもうひとつ見えにくいと言われる中、哲学の違いが浮かび出た。

 ◇宰相論でも激しく応酬

 参院選惨敗後に続投しながら結局政権を放りなげた安倍首相の判断についても両氏の評価は分かれた。両氏の「弱点」についても会場から厳しい質問が飛んだ。

 「トップリーダーにとって大切なもの」を問われた福田氏は「辞める時の決断」と指摘。安倍首相の辞任について「決断の時期を間違えられたと思う」と述べ、参院選惨敗を機に辞任すべきだったとの考えを示した。

 福田氏は「自民党が参院で力を失ったのは極めて大きい。十分辞任に値する」と指摘。「本当に苦しい道を自信が歩む決断がなければ(続投の)決断はしてはいけない。(辞任は)最後の最後に決断すべきで、タイミングが適当ではなかった」と続けた。首相だけでなく、惨敗後も首相続投を進言した麻生氏への痛烈な皮肉だった。

 その麻生氏は参院選惨敗について「前(小泉)政権の負の遺産を、かなりの部分引き継いできた(結果)。その責任すべてを一人で背負うのはいかがなものか」と主張。続投を進言したことは間違っていなかったとの考えを強調した。

 ただ麻生氏がリーダーの条件に挙げたのは「孤独に耐える力」。首相が、続投後も続いた閣僚の不祥事などに持ちこたえられず、国会の代表質問直前という「最悪のタイミング」で辞任し、禅譲路線という戦略が狂った無念さもにじませた。

 また、福田氏には昨年の総裁選で不出馬を選択しながら党内8派の支持を得て受け身で出馬したことに「事を成し遂げようという気迫に欠けるのでは」との質問が出た。福田氏は「私が官房長官としてリーダーシップを発揮しなかったと言う人はいない」と反論。「これから十分リーダーシップを発揮して、私が掲げたビジョンを実行したい」と強調した。

 一方、「キャラが立つ」と自任する麻生氏には「それが(首相の)条件なのか」との質問が出た。街頭演説の反応で福田氏を圧倒しているにもかかわらず、各種世論調査では福田氏のリードを許し大衆人気に欠けるとの指摘もある麻生氏。「キャラが立つことが選挙に良いかどうかは、今は言う段階ではない」と、ぶ然とした表情で語った。

 ◇「ずっと引き留めていた」…麻生氏「安倍氏辞意」で弁明

 「ずっと漏らさず最後まで説得しようと思ったが、説得できずにああいう形になった」。麻生幹事長は公開討論会で、安倍晋三首相から辞意を聞いた経緯を説明した。

 麻生氏は、首相の辞意を退陣表明2日前の10日に知りながら適切な措置を取らなかったとして自民党内で批判された。安倍改造内閣で実権を掌握した与謝野馨官房長官との「クーデター説」まで政界に流布した。

 麻生氏は最初に辞意を聞いた際、「この時期にとんでもない。うかつにそういうことを言うべきではない」と首相に進言したと説明。翌11日にも首相官邸で「所信表明演説が(10日に)終わって、最初の代表質問が明日だ。テロ対策特別措置法の延長問題に形がつくまで、断固、今(辞任表明を)やるべきではない」と引きとめたと強調した。「私と与謝野氏が一方的にやられた形になっている。クーデターなどいろいろ(うわさが)あったが、私には関係ない」と否定、ふんまんやる方ない様子だった。

毎日新聞 2007年9月22日 1時45分
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by miya-neta | 2007-09-22 01:45 | 政 治