「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

総裁選の舞台裏を見た 自民党衆院議員・平沢勝栄氏の永田町日記

特集ワイド:政治:MSN毎日インタラクティブ


 ■福田さんが勝てば、近く山崎さんが訪朝するようだ。

 ■麻生さんは安倍さんの辞め方次第では後継だった。

 自民党総裁選は福田康夫元官房長官優位の中、麻生太郎党幹事長が必死の巻き返しを図っている。安倍晋三首相の突然の辞任表明から1週間余り、政界はどう動いているのか。同党所属の平沢勝栄衆院議員に「永田町日記」を公開してもらった。【構成・遠藤拓】

 【9月12日(水)】

 <安倍首相が突然の辞意。総裁選に麻生氏が出馬の意向>

 午後1時の本会議直前、代議士会の控室でテレビの一報。とうとう、来るべきものが来た。大島理森国対委員長が「対応を考えるので待ってほしい」と駆け込む。「職場放棄」「事前になぜ言わない」と大騒ぎ。テロ対策特別措置法の延長問題で「職を賭して」と言ったので、いずれ辞めるとは思っていた。でも、なぜ今なのか。最悪のタイミングだ。安倍さんには参院選後、私を含め多くの議員が辞意を促したが、なぜか踏みとどまった。周囲に辞めさせてもらえなかったのではないか。

 午後2時半ごろ、米大使館高官から「ブッシュ大統領も非常に残念がっている」と電話。でも、内心は北朝鮮政策がやりやすくなったと思ったのでは。

 安倍さんは会見後、みのもんたさんらに電話で経緯を説明したらしい。なぜだろう。

 夜の山崎派の会合後、小泉チルドレンの小野次郎衆院議員から電話。「小泉(純一郎前首相)さんの再登板要請に署名を」と迫られた。「小泉さんは100%出ない。『選挙のため』と反発を買うからやめた方がいい」と断った。

 【13日(木)】

 <福田氏と額賀福志郎財務相が出馬の意向、小泉前首相は否定。投票は23日に>

 官邸幹部と電話。「安倍さんはまともな相談相手がいなかった。だから最後まで問題を引きずったあげく、こうなった」との分析だ。「安倍さんは非常に優しいけれども頑固」とも。

 安倍さんはとにかく人がよすぎる。だから松岡(利勝)さん、赤城(徳彦)さんの両元農相にも非情になれず、今回も辞めれば迷惑がかかると思うあまり、のっぴきならない事態を招いたのだろう。昔、安倍さんの拾った野良犬が子犬をたくさん産み、結局は面倒を見られずに知り合いに配ったことを思い出した。どこか重なる。

 山崎派の会合が昼夜2回あり、「福田さん支持に回るが、政策に注文をつけよう」と結論。一部は麻生さんに回りそう。

 【14日(金)】

 <総裁選告示。福田氏は麻生派を除く8派の支持を集め、額賀財務相は出馬を断念>

 雪崩現象には理由がある。麻生さんが安倍さんの「亜流」と思われていること。もう一つ、麻生さんが安倍さんの辞意を知りながら黙っていたと報道されたこともある。安倍さんの辞め方次第では後継だったのに。

 2人の一番の違いは北朝鮮問題だろう。拉致議連事務局長のころ、官房長官の福田さんと官邸でよく話し込んだ。当時から「国民世論は沸騰するかもしれないが、何とか話し合いで解決しなければ」と言っていた。

 夕方、桜井郁三衆院議員らが、麻生さんへの支持を求める文書を持って議員会館に来る。

 【15日(土)】

 <福田、麻生の両氏が総裁選の立候補を届け出、一騎打ちの選挙戦が始まる>

 昼ごろ、国会近くのホテルで福田さんの出陣式。選対本部長は橋本聖子参院議員。イメージを柔らかくするためだろう。森喜朗元首相からは「君と一緒に戦うのは初めてだな」、中川秀直前幹事長から「テレビに出たらよろしく頼む」と声をかけられた。

 それにしても、額賀さんと谷垣(禎一元財務相)さんが立たなかったのは残念。小泉さんも3回目で当選したのだし、負け覚悟で出るべきだった。小泉さんは今回、多くの候補者が出るのを望んでいたそうだ。

 【16日(日)】

 <街頭演説会がスタート>

 午前、テレビ番組の生放送で会った石破茂元防衛庁長官と雑談。「安倍さんの最大の功績はテロ特措法への世論を好転させたこと」と言っていた。

 午後、東京・渋谷で両者の街頭演説会。街頭の人気は圧倒的に麻生さんだ。秋葉原に場所を移し、麻生さんが1人で演説、終了後、私が演説カーの下で待ち構えて握手をしたら、驚かれた。

 【17日(月)】

 敬老の日で終日、地元(東京都葛飾区など)の敬老会回り。「面白さならば麻生さんだが、政局の混乱には福田さんがベター」との声が強い。

 夕方、拉致被害者・蓮池薫さんの兄透さんと電話。「(02年の小泉訪朝の時)福田さんが北朝鮮の発表を真に受けて『8人死亡』としたのは今もふに落ちない。でも、福田さんが主張する話し合いも含めた対応には大賛成」と言っていた。

 民主党の松木謙公衆院議員ら数人と意見交換。「自民の都合で国会がストップしたのに、それを責めない幹部はおかしい」と不満たらたら。首相に臨時代理を置かないと国会が空転するし、危機管理上も問題だ。

 【18日(火)】

 早朝のテレビ番組に出演。私が福田さん、中川昭一前政調会長が麻生さんを応援する立場でコメント。控室で中川さんに「立候補すれば私が推薦したのに」と声をかけた。

 午前に福田さん、午後に麻生さんが議員会館の部屋に。福田さんは淡々と、遅れて来た麻生さんはにこやかながらも必死な様子だ。福田さんの選対本部にもあまり危機感がない。普通は「優勢」と新聞に書かれれば、組織を引き締めるのだが。

 午前中に米国、韓国の大使館高官と電話。どちらも福田政権は大歓迎らしい。興味深かったのは麻生さんへのコメント。「安倍さんへの配慮で北朝鮮との対話を強調しづらいだけで、実は福田さんと同じ考えでは」

 午後、山崎拓さんの事務所で1時間ほど話し込む。山崎さんは「二重外交」と批判された1月訪朝で、北朝鮮にいるすべての日本人を一度、帰国させ、「全員帰国」確認のため、日本の警察当局が現地調査をする、との提案を北朝鮮高官に持ちかけ、向こうも了承したらしい。

 2人の外交政策は近く、山崎さんは「福田さんの下で問題解決に汗を流したい」と福田さんに伝えている。福田さんが17日の街頭演説で拉致問題を「私の手で解決したい」と言ったのも、山崎さんを意識したはずだ。山崎さんは近いうち、場合によっては福田さんの親書を携えて、訪朝するつもりのようだ。

 韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が10月の南北首脳会談で、日本政府の要請を受けて拉致問題を取り上げる、との情報もある。日本の政権交代を受け、北朝鮮の対応も変わるかもしれない。相手が相手だけに楽観は出来ないが。

 【19日(水)】

 昼過ぎに山崎派の選対会議。地方票は麻生さん有利、との声があるが、果たしてどうか。それにしても自民党はしたたかだ。世間の関心をうまく総裁選に持っていった。看板も変わって支持率もこれで下げ止まりだ。とはいえ、しょせんは一時的なカンフル注射。厳しい局面は今後も続くだろう。

 【20日(木)】

 午前、福田陣営の拡大選対会議。最後まで気を引き締めることを確認する。

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 ■人物略歴

 ◇ひらさわ・かつえい

 1945年岐阜県生まれ、東大法卒。警察庁入庁後、後藤田正晴官房長官秘書官、岡山県警本部長などを経て96年衆院初当選。現在4期目、衆院外務委員長。自民党山崎派。テレビ、ラジオに多数出演し、政界の動向を率直に語ることや、拉致問題への取り組みで知られる。学生時代は小学生だった安倍晋三首相の家庭教師。

毎日新聞 2007年9月20日 東京夕刊
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by miya-neta | 2007-09-20 15:06 | 政 治