「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

ネットがつなぐ亡命市民パワー ミャンマー軍事政権に圧力

世界|国際|Sankei WEB


 ミャンマーの反政府デモを武力で圧殺しようとする軍事政権への国際的圧力の源泉は、国外で運動を続ける亡命市民のパワーであり、彼らの最大の武器はインターネットだ。日本人の映像ジャーナリスト、長井健司さん(50)が射殺される瞬間の衝撃映像を世界に流したのも、ノルウェーに本部をおく組織だった。軍事政権に自制を求めるため、国連のガンバリ事務総長特別顧問(事務次長)が29日、首都ネピドー入りする状況下、亡命市民らの懸命の情報発信が続いている。

世界に伝える母国の真実

 【ロンドン=木村正人】長井さんが射殺される衝撃の映像をインターネットで報じたオスロの「ビルマ民主の声」衛星テレビ放送局の編集者、ムー・イー氏(42)は29日、電話取材に応じ、「ヤンゴンでは今も学生らの抗議行動が続いている。治安部隊は発砲こそしていないが、警棒をふるう弾圧を続けている」と話した。ほかの3都市でも僧侶らのデモが続いているという。

 「ミャンマー国内で何が起きているのかを、ミャンマーの人々に伝えるのがわれわれの使命だ」とも付け加えた。

 ロンドン郊外で亡命生活を送る国民民主連盟(NLD)英国支部幹部、スーリア・テイザ氏(32)は、仲間と主宰するウェブサイトで母国の弾圧状況や困窮ぶりを時々刻々伝えている。インターネットや携帯電話の電子メールで、母国の厳しい検閲をくぐり抜けて送られてくる生々しい情報や写真だ。

 「これ以上の弾圧をやめさせ、軍政を倒すには、これら命がけで発信された真実を世界に伝えるしかない。軍事クーデターの1988年にはなかった通信手段が、今は私たちの手にある」

 テイザ氏はヤンゴンにある医科大学の学生だった96年、軍政に対する抗議行動に参加、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんが率いる最大野党、NLDに加わった。

 しかし03年、約100人のNLDメンバーが治安部隊に虐殺される事件が起き、身の危険を覚えたテイザ氏は偽造パスポートを入手してロンドンに逃れた。

 翌04年、母国の状況を電子メールで発信し始めた。「ビルマ(ミャンマーの旧国名)・ダイジェスト」と名付けた。その後ウェブサイトに衣替えし、母国で活動する見ず知らずの若者らから写真や情報の提供が相次ぐようになった。

 軍事独裁下にある母国からの情報発信は困難を極める。「国境なき記者団」(本部・パリ)などによると、ミャンマーでは国営接続業者が2つあるだけで、インターネットを利用できるのは30万人足らず。全人口の1%にも満たない。

 治安当局は電子メールのアドレス保有者(2万5000人=05年)に厳しい目を光らせる。テイザ氏の話では、ヤフーやグーグルなど大手検索サイトも治安当局によって監視され、政治的なブログは自動的に排除、ファクスの所有にも免許制度が課せられている。

 検閲システムをくぐり抜けて送られてくる情報を一つとして無駄にはしないと亡命市民らは思う。

 NLD英国支部のウィン・ナイン議長(60)は「ヤンゴンで平和的デモに参加した約200人が射殺されたとタイ経由で伝わってきた。われわれ亡命ミャンマー人が発信しないと、母国の民主化は進まない」と口調を強めた。

世界に散らばる亡命市民の組織

 ミャンマーの民主化を訴える亡命市民らのネットワークは世界中に広がっている。

 「ビルマ民主の声」(DVB)は1988年の民主化要求デモに参加した元学生らが91年に結成し、92年にラジオ短波放送、2005年に衛星テレビ放送をはじめ、ミャンマー国内に民主化情報を伝えている。同様の情報はインターネットでも流す。

 タイに本部を置き、日米英など世界7カ国に事務所を構える本格的な反軍政組織「ビルマ連邦国民評議会」(NCUB)日本事務所のマウン・ミンニョウ代表(59)によると、DVBやNCUBはこうした映像を現地の記者やタイで訓練して現地に送り込んだメンバーに撮影させ、インターネットを厳しく規制している軍政が摘発できない特別なソフトウエアを使って、外国の拠点にネット送信させている。

 軍事政権の最高意思決定機関である国家平和発展評議会(SPDC)のタン・シュエ議長の娘の豪華絢爛(けんらん)な結婚披露宴が投稿動画サイト「ユーチューブ」を通じて流出し国民の恨みを買ったが、この映像もDVBの衛星テレビでミャンマー国内に伝えられた。

 軍政当局は反軍政活動を取り締まることに懸命で、長井さんの射殺シーンを撮影した場所も、すでに捜索したという。

 DVBと密接な関係を持つNCUBはタイに逃れた少数民族組織やNLD急進派、反政府武装勢力のカレン民族同盟(KNU)などにより92年に結成された。反軍政勢力が90年に樹立した「ビルマ連邦国民連合政府」の議会の役割を果たす。NCUBの組織を支える国外在住のミャンマー人は数百万人に及ぶとしており、各国への拠点の拡大を図っている。(岩田智雄)

(2007/09/29 21:01)
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by miya-neta | 2007-09-29 21:01 | 国 際