神戸の高3いじめ自殺、少年2人を恐喝未遂で家裁送致
2007年 10月 16日
◆金要求メール送らせる
神戸市須磨区の私立高校で、7月に自殺した同高3年の男子生徒(当時18歳)が同級生らから金を要求されていた事件で、神戸地検は15日、同級生の少年(18)と同学年の少年(17)を恐喝未遂の非行事実で神戸家裁に送致した。2人は、今月5日に家裁送致された同級生(17)と一緒に恐喝メールの内容を決めており、地検はこの同級生との共謀が成立すると判断し、「少年院送致相当」との意見書を付けた。家裁は15日付で2人の観護措置(2週間)を決定し、神戸少年鑑別所に収容した。
非行事実によると、2人は以前から生徒に、「うそをついたら罰金1万円を払え」などと要求。今年6月ごろ、「夏休み明けまでに金を支払わなければ、倍の金額を払わせるか、リンチさせる」などと書いた携帯メールを先に家裁送致された同級生に送らせ、金を脅し取ろうとした。
調べに対し、2人は恐喝メールの作成に加担したことは認めたが、うち17歳の少年は「金は受け取らないつもりだった」と犯意を一部否認しているという。
一方、これまでの調べで、同学年の別の少年(18)が生徒にブレスレットや服を売りつけていたことがわかっており、兵庫県警は違法行為にあたるかどうか慎重に捜査を進めている。
■解説
◆ネットいじめ、氷山の一角
自殺した神戸市須磨区の私立高校3年の男子生徒(当時18歳)に対する恐喝未遂事件は、携帯電話やインターネットを使った「ネットいじめ」の実態の一端を浮き彫りにした。いじめは、仲良しグループの中で行われ、携帯電話のメールやネットへの書き込みが手段に使われていた。昨秋から続いていたが、生徒は被害を訴えず、遺書の中でも同級生らの名前を挙げていなかったこともあり、学校は「いじめはなかった」と繰り返した。
兵庫県警が「いじめは許さない」との姿勢で、同級生ら3人を逮捕したことでいじめの全容が判明。学校も逮捕後の調査で、ようやくその存在を認めたが、事件は、横行するネットいじめの氷山の一角と言える。
今、子どもたちの多くが携帯電話を持ち、ネットを利用している。悲劇を繰り返さないためにも、学校や周囲の大人は、利便性の陰に潜む〈闇〉の危険性を子どもたちに教え、使い方を制限したり、監視したりすることが必要だ。
(神戸総局 池田えり子)
(2007年10月16日 読売新聞)