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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

東北ビジョンと新潟/道州制区割りはどうする

河北新報 コルネット 社説


 東北経済連合会が9月に発表した2030年を目標年次とした東北(新潟県を含む)ビジョン。人口減少・少子高齢化と、産業経済のグローバル競争という2つのダイナミックな構造変化の中で、東北の活力を高める方策として、仙台、新潟両市の「ツイン・ハブ(拠点)整備構想」を打ち出したのが特徴だ。これまで策定した網羅的な長期ビジョンとはひと味違って、戦略を絞り込んだプロセスを評価したい。ただ、新潟県の位置付けについては、議論を本格化させたいところだ。

 東経連はビジョン策定に当たり、「選択と集中」を重視したとする。地方の急激な人口減少と、国・地方自治体の財政難で、投資効果の高いところに傾斜配分せざるを得ないからだ。

 産業経済活動は、都市機能と連動する。「平成の大合併」で13市町と合併し、人口81万となった新潟市は今年4月に、仙台市と同格の政令指定都市に昇格。ビジョンでは、東北の自立的発展の実現には、経済成長著しい東アジアとの連携が不可欠で、その連携軸構築のため2つの政令市にスポットを当てた。具体的には(1)港湾と空港の拠点性の強化(2)国際業務機能の高次化―などを盛り込んだ。

 地方分権なり道州制を視野に入れれば、東京を経由せずに、太平洋側と日本海側に二極を築き、世界と直接付き合うという考え方には大賛成。しかし、その一極が新潟市という点については丁寧な説明が必要だろう。

 現状を見れば、東北6県と新潟県が一体化しているとは言い難い。特に物理的な距離も離れている北東北3県には、なぜ日本海側の極が新潟市なのか疑問もある。新潟市に機能を集中させることで、東北全体にどんなメリットがもたらされるのか、分かりやすく描くべきだ。

 地域の枠組みという観点では“ねじれ現象”も抱えている。
 10年以内をめどとする道州制に関しては、地方制度調査会がたたき台とした9、11、13の3区割り案で、東北がいずれも6県なのに対し、新潟県は9ブロック案では北関東信越、11、13ブロック案では北陸。自民党道州制調査会は11ブロック案で議論を進めている。

 また、5次に及んだ全国総合開発計画(全総)に代わって、08年度の閣議決定を目指す国土形成計画と広域地方計画(8ブロック)では、東北は新潟県を含む7県となっている。

 東経連では、この広域地方計画に今回のビジョンを反映させたい考えだが、ここはあえて、「新潟は東北」という前提論にとどまらず、「産業経済の成長の観点から新潟は東北にとって外せない」という理論武装まで求めたい。それが可能であれば、道州制の区割り論議にも影響を与えるはずだ。

2007年10月22日月曜日
by miya-neta | 2007-10-22 08:36 | 経 済