保健室へ悩み相談急増 小中高生、06年度調査
2007年 10月 29日
2007年10月29日 朝刊
◆いじめなど、利用者の40%超す
いじめや友人関係の問題など、心の悩みを訴えて学校の保健室を訪れ、養護教員に相談する子どもが、小中高校ともこの十年間で大幅に増えて、保健室利用者全体の40%以上を占めていることが、文部科学省の二〇〇六年度の調査で明らかになった。
保健室を利用する子どもの数や養護教員の対応時間も増加傾向で、文科省は「社会環境や生活習慣の変化が大きく影響し、子どもの悩みが以前と比べて多様化しているようだ」と分析している。
文科省は全国の小中高校計約一千百校(児童生徒計約六十七万人)を対象に、休日を除いた一週間の利用状況を調べた。
調査結果によると、保健室を利用した理由を「主に心に関する問題」としたのは、小学生で一九九六年度は8%だったが、〇六年度には41%に上昇。中学生も18%から47%、高校生も14%から44%に増えた。悩みの内容はいじめや友人関係、家庭環境などが上位を占めた。
体の問題を訴えた小中高校生は九六年度に49-54%だったが、〇六年度は29-37%に減少した。
一日に保健室を利用する子どもは、〇一年度に九六年度より減少したが、〇六年度は〇一年度に比べ、小学生で二十七人から四十一人となり、中高生でも増加。養護教員が子ども一人に対応する時間も〇六年度は十二-二十二分で、〇一年度よりも一-六分長かった。
こうした状況から「小学で八百五十一人以上、中高で八百一人以上の子どもがいる学校」としている養護教員の複数配置の基準見直しを中教審でも議論している。
【養護教員】 全国の小中高校に配置されている養護教員は2006年5月現在で約4万3000人。学校教育法で小中学校は原則的に配置が義務付けられているが、高校は任意。ほとんどが女性で主に保健室に常駐し、子どもの急病やけがの応急処置、学校内の衛生管理などを担う。近年は、友人関係や性の悩みなど精神面での相談を受けるカウンセラー的な役割も大きな比重を占める。いじめ問題などから保健室登校の子どもの指導にもあたるほか「保健」の授業を受け持つこともある。