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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

新・学習指導要領案 現場に評価と不安

山形 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 主要教科の授業時間を1割以上増やすことなどを柱にした小・中学校の学習指導要領改定案が文部科学省から公表された。県内の現場の教員からは、「知識習得と、思考力や判断力の養成をバランスよく盛り込んでいる」と、“総論”としては評価する声が多く聞かれる一方、小学校での英語活動必修化など、“各論”では疑問や不安の声も出ている。(梁田真樹子)

【興味引き出す】

 改定案で授業時間増が盛り込まれた理科を指導する山形市立第四中学校の峯田秀行教務主任(48)は、「子供に今よりも学習内容のおもしろさを多く伝え、興味を引き出せるようになるのは喜ばしい」と、改定案を評価する。

 同市立第三小学校の荒井智則教諭(35)も、「『ゆとり』と詰め込みの中間を取った内容であり、賛成できる」と改定案を位置づけ、「基礎や基本の徹底だけでなく、子供同士の話し合いなどを通して学びを深める授業にも多くの時間を割ける」と、新指導要領に基づく具体的な授業の進め方について考えを巡らせている。

【英語の必修化】

 ただ、改定案の個別の内容に対しては疑問の声も聞かれる。不安が大きいのは、小学校での英語活動の必修化。山形三小の荒井教諭は、「『中学校で困らないように』と教えると、点数を取るための学習になり、かえって英語嫌いの子どもをつくってしまう。動機付けが肝心」と話し、授業内容を相当工夫する必要があるとの見方を示す。

 県連合小学校長会長を務める同市立第四小学校の渋谷光夫校長は、「小学校の教員は、英語を教えた経験のない人がほとんど。そうした教員に英語の指導方法をどう指導するか。ALT(外国語指導助手)をどう確保するか」と、要員面での不安を打ち明ける。

 総合学習が削減されたことについても、「残ってよかったというのが本音。子供の興味や意欲を発見につなげる意味で、必要な授業だと思う」(荒井教諭)、「教員と子供がともに授業を作る姿勢が生まれ、力を入れていただけに残念」(渋谷校長)との意見が聞かれた。

【今後に向けて】

 山形四中の峯田教務主任は、「ゆとり教育も、子供と教員がふれ合う余裕が生まれた点は評価できる。詰め込み教育に戻ることなく、子供の興味や意欲をもっと引き出すために、教員は指導要領改定を機に原点に返らさなくては」と訴える。山形四小の渋谷校長も、「全都道府県の名前を小学校中学年で学ぶなど、授業のやり方によっては、暗記型の詰め込み教育に逆戻りしてしまう」と述べる。

 共通するのは、かつて弊害が指摘された詰め込み教育には戻らないが、必要な学力は確保しなければならないという認識だ。「自ら調べたり表現したりする授業も行うには、一層教員の力が試される」(渋谷校長)。従来以上に個々の教員の力量が問われることになるのは間違いなく、子供のコミュニケーション能力を充実させること、判断力や思考力を養うことなど、点数化されにくい分野でも教員の真価が問われることになりそうだ。

 県教委は今年度、コミュニケーションを重視した教育を県内で展開する方針を打ち出しており、「知識だけでなく、他人との交流や外部の情報も生かしながら思考力などを養おうとする県の狙いは、改定案の方向性とも合致する」(鈴木弘康・義務教育課長)として、独自の施策に力を入れる方針だ。

学習指導要領改定案の主な内容 

 ▽国語、算数・数学、理科などで授業時間を1割   以上増加。各学年で週1~2コマ増える計算

 ▽総合学習の時間を、小学校で現行の3時間から   2時間にするなど削減

 ▽小学5年から英語活動を必修化

(2008年2月20日 読売新聞)
by miya-neta | 2008-02-20 09:12 | 教 育