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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

巣立つ日も「なぜ」抱え 高畠高自殺生徒の同期生113人が卒業

山形新聞ニュース


2008年3月2日(日) 09:58

 高畠町の県立高畠高で2006年11月、校内で飛び降り自殺した同校2年の渋谷美穂さん=当時(16)=と同じ学年だった3年生113人の卒業式が1日、同校で行われた。県教育委員会は、渋谷さんへのいじめは確認できなかったとし、山形地方法務局も人権侵犯の有無は確認できなかったとの決定を出したが、渋谷さんが自殺した原因は今も不明。卒業生は複雑な思いを抱えたまま学びやを巣立った。

 卒業式では、山田陽介校長が式辞の中で「一昨年の秋、皆さんの同期生が学校で自ら命を絶った。かけがえのない若い命を失うという、あまりにも痛ましく悲しい出来事だった」と述べた。卒業生代表の女子生徒は「3年間にあったことをきちんと受け止め、新たな一歩を踏み出そう」と答辞を述べたという。

 「渋谷さんの自殺の原因が分からないまま、ぼくたちは卒業しなければならない。それが何よりもつらい」。高畠高の3年生は、これまでの山形新聞の取材に対し、こう心情を吐露した。渋谷美穂さんが自殺した原因は依然として明らかになっておらず、同期生とその保護者の苦悩は続いている。

 渋谷さんの遺族は2007年11月、1周忌を機に遺書の一部を公開。クラス内でいじめを受けていたことをうかがわせる記述があったことから、生徒に大きな動揺が広がった。3年の男子生徒(18)は、いじめは本当にあったのかなどと同級生とあらためて話し合ったが、結果は「そうした話はまったく出てこなかった」。しかし、他の高校の友人からは「いじめがあったのだろう」と言われた。

 この男子生徒は「高畠高が多くの人に『女子生徒がいじめで自殺した学校』というイメージで見られることは耐えられなかった」と明かす。その上で「校内でいじめがあれば何らかの情報が出てくるはずだが、それがまったくない。自分たちが見聞きしてきたことがすべてであり、いじめは本当になかったと信じている」と話す。

 渋谷さんと親交があった3年の女子生徒(18)は、遺書の内容について「普段の渋谷さんの生活態度からは考えられない激しい文章で、本当に彼女が書いたとは思えないような内容だった」と話す。遺書の中には、渋谷さんが自らの体臭で悩んでいることをうかがわせる記述があったが、この女子生徒は「渋谷さんには体臭はなかった」と否定。自殺の原因については「気にはなるが、これ以上深入りしたくない」と語る。

 保護者も複雑だ。ある3年生の父親は「いじめは確認できなかったとする県教委の調査結果は正しいと思うが、生徒たちはいまだに世間から厳しい目で見られている。渋谷さんのご遺族の気持ちも察しなければと思う一方で、同じ3年生の気持ちも理解してほしい。今後も県教委などしかるべき機関が原因を調査し、解決の道を探ってほしい」と語る。

 渋谷さんへのいじめと人権侵犯は確認されなかった。ならばなぜ、渋谷さんは自殺しなければならなかったのか。原因が解明されなければ、卒業生に心の平穏はいつまでも訪れない。

【問題の経緯】
 2006年11月22日午後0時半ごろ、高畠高で同校2年の渋谷美穂さん=当時(16)=が校舎2階と体育館をつなぐ渡り廊下の屋根から飛び降り自殺した。

 渋谷さんの携帯電話に残されていた遺書に校内でいじめを受けていたことをうかがわせる記述があったことから、県教委と同校はいじめが原因の可能性があるとみて、07年2月15日まで生徒と教職員を対象に聞き取りやアンケートなどの調査を行った。同年3月5日に「いじめは確認できなかった」との調査結果を公表したが、自殺の原因特定には至らなかった。

 人権侵犯事件とみて調査してきた山形地方法務局も同年12月21日、人権侵犯の有無については確認できなかったとする決定を遺族と高畠高、県教育委員会に通知した。

 遺族はこれらの調査結果に納得しておらず、第三者機関による再調査などを求めているが、県教委は「第三者機関の設置は困難」との立場を取っている。
by miya-neta | 2008-03-02 09:58 | 教 育