「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

麻生氏と道州制/政治が担う役割を考えたい

河北新報 コルネット 社説


 自民党の麻生太郎前幹事長が月刊誌「VOICE」4月号に「地方経済繁栄論」を寄稿している。明治以来の中央集権の弊害を乗り越えるための道州制推進論。東京・永田町と霞が関にも波紋を広げそうな私論だ。

 論文は、中央政府の役割を外交や国防、司法などに絞った上で、現在の都道府県制を全国10前後の広域自治体に再編する道州制の最大の眼目を「経済的自立」と強調。道州知事はトップセールスに努め、国税の法人税をすべて地方税にする税制改革も行うべきだなどとしている。

 中には「(国の出先機関整理で)霞が関の職員を道州に振り分ける」などと首をかしげざるを得ない主張も見られ、論文が必ずしも緻(ち)密(みつ)な制度設計を前提に書かれたものではないことが分かる。

 しかし、麻生論文は単なる「政治家の私見」を超えたインパクトを持っていると思う。

 1つは、福田政権の政策的弱点を「ポスト福田」の最右翼とされる麻生氏が突いたことだ。

 道州制は「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍晋三前首相の“専売特許”というのがいまや永田町と霞が関の常識だ。

 政府の道州制ビジョン懇談会や自民党の道州制推進本部は近く道州制の導入を7―10年後とする報告書をまとめるが、福田政権がこれを本気で後押ししているかというと疑問符が付く。

 前政権の否定の上に成立した福田政権が政策から「安倍色」を消そうとするのは分かる。しかし、それは道州制の可能性を重視してきた各地の経済界や自治体首長に背を向けることだ。

 昨年の自民党総裁選で善戦した麻生氏としては「地方の味方」という福田氏とは対照的なイメージを定着させ“次”への環境を整えておきたいのだろう。

 もう1つは、麻生氏が道州制というテーマをあらためて政治の舞台に引き上げたことだ。

 私たちは、道州制が地方分権を前進させるための有効な手段となり得るなら、国民的な議論と検討に値すると考えている。

 税財政や政策立案にかかわる権限を国から地方に移す事業は生やさしいものではない。少なくともそれは省庁の仕事ではなく、政治が担うべき大仕事だ。

 そもそも、道州制の前提となる地方分権に反対しているのは省益にしがみつく霞が関の官僚たちなのだ。その壁を打ち壊せるとしたら、世論の支持を後ろ盾にした政治の力業である。

 残念ながら、道州制をめぐる国民的関心は盛り上がっていない。道州制の是非はともかく、それは地方の死活問題になっている地方分権の必要性が浸透していないことの裏返しだろう。

 地方再生に向けた国民的な議論を巻き起こす上で、政治の力は不可欠だ。麻生論文から読み取りたいのはその点である。

2008年03月17日月曜日
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by miya-neta | 2008-03-17 07:28 | 政 治