「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

社説1 天安門事件を連想させるチベット情勢

NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋-日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋


(2008/3/16)

 中国チベット自治区の中心都市ラサで14日、大規模な騒乱が起き、新華社によれば10人が死亡した。中国当局はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世を名指しで非難しているが、力で抑え込もうとすれば悲劇の連鎖が続きかねない。胡錦濤政権の自制を求める。

 中国の支配に抗議するチベット仏教の僧侶らのデモは10日に始まった。ダライ・ラマのインド亡命につながった1959年の「チベット動乱」から49周年にあたる日だ。

 14日に抗議行動はエスカレートし、ラサ中心部のチベット仏教の聖地、ジョカン寺(大昭寺)周辺の繁華街で火災が発生した。警察車両への焼き打ちも起きた。新華社は、公安当局が催涙弾や威嚇射撃で対応したと伝え、10人の死者は「善良な市民で、焼死した」としている。

 新華社によれば騒乱は15日には終息した。ただ、当局はジョカン寺などの周辺をなお封鎖しているとの情報もある。外国メディアの現地入りを原則禁止するなど当局が厳しい情報統制を敷いているため、実情はよくわからない。

 ラサでの大規模な騒乱は、戒厳令の実施にまで発展した1989年の「動乱」以来、ほぼ19年ぶりだ。5カ月後の北京五輪をにらみ、国際社会にチベット問題をアピールする思惑があったとみられる。

 北京では5日から全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開かれている。今年の全人代は胡錦濤国家主席(共産党総書記)の後継者候補である習近平氏を国家副主席に起用する節目の大会で、胡政権の揺さぶりをねらった可能性も大きい。

 実は89年の「動乱」では、当時チベット自治区のトップだった胡錦濤氏が自ら制圧を指揮した経緯がある。再び流血を防げなかったのは、胡政権にとって打撃だ。

 地元の当局者はダライ・ラマが関与した組織的、計画的な暴動だと一方的に非難した。半面、ダライ・ラマは声明を発表して「深い懸念」を示すと同時に、当局と市民の双方に自制を求めている。

 89年にラサで戒厳令が施行されたあと、北京では学生たちの民主化運動を武力で制圧する天安門事件が起きた。日米欧は対中制裁に踏み切り、中国は国際的に孤立した。

 北京五輪をひかえて中国の人権状況への国際的な関心が改めて高まっている。中国はいまや世界経済のけん引役で、国際的に孤立するようだと影響は大きい。人権への配慮を欠いた中国当局の高圧的な対応を憂慮する。
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by miya-neta | 2008-03-18 10:39 | 国 際