武器輸出3原則:政府が緩和策提示 米以外の国も解禁対象
2004年 11月 19日
政府は18日、武器輸出3原則の緩和策として、米国を中心とした多国間の武器共同開発・生産への参加を可能とする案を与党に提示した。政府はこれまで、米国と共同技術研究を進めているミサイル防衛(MD)システムが開発段階に移行した場合に備え、武器部品の対米輸出だけを解禁する方針を示していたが、武器の多国間開発に向けて解禁対象を米国以外の外国にも拡大し、より大幅に3原則を見直す姿勢を鮮明にした。
最先端技術を結集する次世代戦闘機などは、国際共同開発が世界的なすう勢となっており、自民党や経済界からは3原則緩和を求める声が高まっていた。ただ、公明党内には慎重論も根強く、年内に閣議決定する新たな「防衛計画の大綱」に3原則緩和を盛り込むかどうかは、政府・与党間の調整が残されている。
政府案は、第三国への移転制限などを提供先の国に課すことや、厳格な輸出管理を緩和の条件とした。国際共同開発のほか、テロ・海賊対策などへの支援を目的とした武器輸出の解禁も盛り込み、老朽化した艦船などの途上国への輸出に道を開く内容になっている。
緩和の手続きとしては、(1)新大綱に緩和策を明記し、官房長官談話で管理指針を示す(2)新大綱は武器輸出の理念だけを示し、官房長官談話で緩和策と管理指針を示す(3)新大綱では武器輸出に触れず、官房長官談話で理念、緩和策、管理指針を示す(4)今後の具体的な案件ごとに官房長官談話で3原則の例外扱いを表明する--の4案を示した。【平元英治】
■ことば(武器輸出3原則) 67年に佐藤内閣が表明した方針。(1)共産圏諸国(2)国連決議により武器輸出が禁止された国(3)国際紛争当事国またはその恐れがある国--への武器輸出を禁止するという内容だったが、76年に三木内閣が対象地域以外への武器輸出をも慎むとの政府統一見解をまとめ、海外への武器輸出を原則として禁じる政府方針となった。83年から米国への武器技術供与だけは例外扱いになった。
毎日新聞 2004年11月18日 21時54分