「電話加入権の廃止に伴う「返金義務なし」は詐欺である」
2004年 11月 19日
★電話加入権の廃止に伴う「返金義務なし」は詐欺である★
電話加入権とは、電電公社(現在のNTT)に施設設置負担金を支払った者に与えられる「加入電話を引くことができる権利」のことです。譲渡や売買も可能で、いつでも電電公社(NTT)が買い戻すものと契約上明記されてきました。
企業の貸借対照表でも、電話加入権は(無形固定)資産として計上されてきたのはご存知の通りです。国がそうするよう指導してきたわけですね。
もともとは戦後の混乱蘇生期に、加入希望者の激増に比してインフラ(電柱、電線、交換機など)の敷設が間に合わず、等分した実費を申込者に負担させるという苦肉の策だったのですから、その必要性がなくなった段階で、インフラを共同所有する権利(実際には相応の株所有)に代替するか、加入者に返金すべき性格のものです。
売るときには「債権」であると言っておいて、インフラが整った段階で「物権」と見なし、その制度の廃止に伴って債権をチャラにする、という横暴な所為は、どこからどう見ても悪質な詐欺です。
電電公社は、すでに昭和53(1978)年3月30日に「主なインフラは整備された」と宣言したのであってみれば、その後に数千万人から徴収し続けた電話加入権(施設設置負担金)とはいったい何だったのでしょうか。
その莫大な金をどこに使ったのか?
現役および退職後の手厚い"生活保障"に使われたことは関係者なら誰もが知っていることです。
そしてまた実に多くの下請け会社を作ったのに、民営化されたがためにその実態も国会で議論されることはありませんでした。現代日本の落とし穴の一つです。
国鉄(現在のJR)が、施設設置費用を国民の税金から湯水のごとく費やし、なおかつタダで国有地を使いながら、その後「民営化」という名の打ち出の小槌により、今や駅構内を民間会社に貸し出し莫大なテナント料をとり(その代わり上野駅や東京駅や新大阪駅のコインロッカーを潰しまくり)、同じく旧国有地を有効利用すると称してがんがん系列ホテルを建て、当地までの往復の新幹線料金に1,500円程度を上乗せして1万6,000円前後のJR経営ホテルの部屋を「つける」ごときプランを立てて、専業ホテルを潰しにかかっています。
こうした民間活力の奪取が皮肉なことに"民活"の名の下で行なわれ、不況に拍車をかけてきたのです。
中曽根内閣は「民間活力の創造」と言っていました。小泉首相は「民間でできることは民間で」と当初から言い続けてきたのです。しかし、やっていることは、いずれも真逆です。
国家的詐欺!
これこそが現代日本を読み解く最大のキーワードです。
NHKしかり!
国鉄しかり!
道路公団しかり!
郵政民営化しかり!
日本列島ぼろぼろ土建しかり!
年金どろぼーしかり!
電話加入権詐欺しかり!
もともと、空輸、鉄道、水道、電気、ガス、回線電話などは、およそ国営または公営でなければ成り立ちえない産業でした。その後の日本の歪んだ「民営化」は結局のところ、JRや日航や電力会社やNTTが、莫大な広告費を通してメディア・コントロールに成功した、というのがその実態です。
(新「ガッキィファイター」2004年10月17日号に掲載)