CM:男女関係分析 「家事をする男性」に好感--市民団体が調査
2004年 11月 19日
テレビコマーシャルに登場する男女像を分析してきた市民グループ「コマーシャルの中の男女役割を問い直す会」(兵庫県尼崎市)が今秋、発足20周年を迎えた。最新号の会報には、好感度の高いCMをまとめた会員アンケート調査の結果や、高校生が授業でCM分析した取り組みなどが掲載されている。【松村由利子】
◇「飲酒する女性」当たり前の時代
◆市民団体が調査
同会は毎年CMコンテストを行い、料理や洗濯をするのが女性で外で働くのは男性、という性別役割分業の考えに偏ったものを批判する一方で、好感の持てるCMを評価する活動を続けてきた。
02年4月から03年3月末までに放映された中から、好感度の高さで1位に選ばれたのは、屈強な男性たちが登場し、洗濯物の白さや柔らかさに喜ぶP&Gの合成洗剤「ボールド」のCM。
ベスト10には、中年男性が高齢の女性を介護しているユニ・チャームの介護用品「おしり洗浄シリーズ」、男性が料理を作り、女性がそれをうれしそうに食べているヤマザキの食パン「超芳醇」のCMなどが入った。
ワースト10を選ぶ「そろそろやめて」部門では、エプロン姿の女の子がおにぎりを作りながら父親に「今日も一日、しっかり働いてくださいね」と言うつくだ煮のCMや、母親がトイレ掃除をしているのを父親と息子たちがただ見ているトイレ用ウエットティッシュのCMなどが挙げられた。
◆高校生が分析
同会の作る分析シートを使って高校1年生がCMを読み解いたリポートでは、「会社の上司は男、家事をするのは女と決まっている」「女性は若くて細い、きれいな人がよく出ているのに対して、男性は年齢層が広い」などの感想が寄せられた。
内閣府は昨年3月、「男女共同参画の視点からの公的広報の手引き」と題したパンフレットを発行した。「男女を対等な関係で描いていますか」「女性をむやみに“アイキャッチャー”にしていませんか」など五つのポイントを解説した内容だ。
◆意識変化を反映
同会世話人を務める小川真知子さんは「手引きが作成されたことも、社会が変化したことの表れ。会が発足したころのCMは、車を運転するのもビールを飲むのも男性だった。今ではごく普通の情景としてCMの中で女性が運転し、ビールを飲むなど、意識の大きな変化を感じます」と言う。
もう一人の世話人、吉田清彦さんは「ここ数年、働く女性の頑張る姿がさりげなく描かれている上質なCMが増えた」と話す。
最新号の会報は1000円(送料1冊210円)。郵便振替01120・5・8197の同会へ振り込む。
毎日新聞 2004年11月19日 大阪朝刊