【主張】ミサイル決議 この内容なら評価したい
2009年 04月 08日
2009.4.8 03:01
北朝鮮の長距離ミサイル発射に抗議する国会決議が与党と民主党、国民新党などの賛成多数で衆院で採択された。
ミサイル発射は「明白な国連決議違反であり、容認できない」との立場を鮮明にし、日本独自の追加制裁などを求めている。国権の最高機関として、発射は許せないという毅然(きぜん)とした意思と姿勢を示す当然の決議内容だ。
共産党は反対し、社民党は棄権した。両党は文案調整で「ミサイル」や「国連決議違反」などの文言を拒み続け、対北朝鮮制裁の強化にも慎重だった。
決議の根本には「断固たる抗議」や「国際社会の一致した意思」を明確にし、日本の国益を守る考えがある。両党が北朝鮮擁護に回っている印象は否めない。
北朝鮮に自制を求めた3月末の国会決議では、民主党が社民党などの意向を大幅に入れた。その結果、ミサイル発射が「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動」の停止を求めた2006年の国連安全保障理事会決議に違反するとの文言を削除することになり、決議内容は後退した。
今回、民主党は事態の重大さを認識したのか、野党共闘よりも決議内容を重視した。「各党で考えが違い、どうしても乗れない部分がある」(参院幹部)と判断し、文言を大幅に犠牲にすることを避け、多数決による採択としたのは当然だろう。ただ、社民党への気兼ねから、決議の共同提出者とはならず、与党の決議案に賛成する形をとった。
野党が多数を占める参院でも、8日に抗議決議が予定されている。ほぼ同趣旨の決議案が、衆院と同様に与党と民主党などの賛成多数で採択される見通しだ。
残念なのは共産、社民両党の態度だ。いまだに「人工衛星」とする北朝鮮の主張に耳を貸しているようにみえる。国連安保理での新決議採択に向け、日米韓が他の理事国などの賛同を求めて外交努力を積み重ねるさなか、これに対抗する中国、ロシアと同一歩調をとっている。
米下院では、共和党が北朝鮮制裁法案を提出する方針を表明している。法案では、日本人拉致事件にも言及し、被害者の解放を求めているという。
日本は北のミサイルで直接脅威を受け、拉致問題では被害を受けた当事国だ。自らの問題であることへの意識をさらに持ちたい。