【北核実験】北のウラン濃縮、試験段階か 毎年数個の核開発可能に
2009年 06月 13日
2009.6.13 20:46
【ソウル=水沼啓子】北朝鮮外務省は13日、国連安全保障理事会が北朝鮮に対する追加制裁決議案を採択したことについて、「断固糾弾、排撃する」とした声明を発表し、対抗措置として「新たに抽出されるすべてのプルトニウムの武器化」や「ウラン濃縮作業の着手」を表明した。また、米国に対する軍事的対応に言及するなど米国との対決姿勢を際立たせている。
北朝鮮専門家らは、今回の声明がウラン濃縮について「技術の開発が成功裏に行われ、試験段階に入った」としたことに注目している。北朝鮮がウラン濃縮の成功に言及したのはこれが初めてだ。
ウラン濃縮には高度な技術力と膨大な資金が必要だが、この技術を確保すれば、毎年数個の核兵器製造が可能となるとされる。声明は、北朝鮮の核開発が、従来のプルトニウム型に加え、ウラン濃縮技術を伴った新たな段階に入ったことを宣言する意図があるものとみられる。
北朝鮮は2005年に核保有を宣言した。国際社会は北朝鮮を核保有国と認めていないが、この日の声明でも「核兵器保有を誰かが認めるのか認めないのかということは、わが国には関係がない」とした上で、「核放棄など徹頭徹尾あり得ない」と北朝鮮が核保有国であることを強調した。
北朝鮮は、4月5日の長距離弾道ミサイル発射後、国連安保理の議長声明に反発し、すでに寧辺の実験用黒鉛減速炉から取り出した使用済み核燃料棒の再処理に着手し、核兵器の材料となるプルトニウムの抽出を再開している。声明では、すでに使用済み燃料棒の3分の1以上が再処理されたことを明らかにした。
米韓の軍当局は、北朝鮮は現在、核爆弾6個分に相当するプルトニウム42~48キロを保有しているとみている。今後、さらにプルトニウムの保有量を増やしているとみられる。
北朝鮮は現在、長距離弾道ミサイルや中距離ミサイルの発射準備を進めているほか、3度目の核実験を実施する可能性もあり、関係国は警戒を強めている。
<北朝鮮外務省声明の骨子>
○米国は国連安保理を動かし、朝鮮半島に先鋭化した対決局面をつくった
○いまや核放棄は絶対にあり得ない
○新たに抽出されるプルトニウムの全量を武器化
○ウラン濃縮作業に着手
○米国と同盟国が封鎖を試みた場合、戦争行為と見なし、軍事的に対応
⇒ 「わが国は小さいが軍事強国」北外務省声明全文