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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

団塊退職金 80兆円を狙え!

団塊退職金 80兆円を狙え! : Yomiuri Weekly : 特集 : @Money : Yomiuri On-Line (読売新聞)


「団塊の世代」のサラリーマンが、2007年から10年ごろにかけて、一斉に定年を迎える。その数、ざっと300万人。彼らは退職金をほぼ満額受け取れ、総額は80兆円にも達すると言われる。持ち家はバブル以前に取得。住宅ローンや教育費負担からも解放され、年齢的に親の遺産が転がり込む時期でもある。定年ラッシュで、金融資産ン千万円の“プチ富裕層”が続出することも予想される。団塊世代の巨額マネーの争奪戦が始まろうとしている。

本誌 高畑基宏/撮影 読売新聞写真部

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東京23区南西部のオフィス街にある大手銀行支店には、近隣に本社を構える大手電機メーカーの退職金振込口座がある。そこには、定年を迎えた社員たちの総額十数億円にも上る退職金が、行き場のないまま普通口座に眠っている。ここ2、3年で特に、顕著になった現象だ。

 お金は、水とは逆に「高い」所へ流れる。しかし、普通口座でじっとしている背景には、ペイオフ制度がある。銀行が破たんした際に、預金元本1000万円とその利息までしか保証されないが、来年の3月までは、普通預金には適用されないためだ。

 だが、それだけでは説明できない金額なのだ。

 この銀行の関係者は、

 「口座の名義客に、当行の金融商品で運用するよう勧めても、多くは反応が鈍いですね」

 と渋い顔だ。

 超低金利で、あまり高い利回りが期待できないことも一因ではある。しかし、この年代のサラリーマンたちは、高度成長期以降の高金利時代に、もっぱら預貯金に励んできた。運用という発想がなくとも、つぶれることのない銀行に預けてさえおけば、資産は増えてきた。このため、その他の金融商品や証券投資などにはなかなか目を向けないというのが金融関係者の見立てだ。07年から一斉に定年退職する団塊の世代になると、この傾向は一層強まるとみられているのだ。

動かぬ塊をシフトせよ
団塊退職金 80兆円を狙え!_b0067585_8405292.gif 運用先が決まらぬまま、銀行口座に滞留しそうな団塊の世代の巨額な退職金に、最も熱い視線を投げかけるのは証券業界だ。戦略の柱は、金融商品を単品で勧める従来型ではなく、証券会社が顧客の資産全体を管理し、きめ細かい投資相談を通じてリスクを分散させながら運用する「コンサルタント型」商品の売り込みである。

 大和証券は、社内のファイナンシャルプランナー(FP)をレベルアップし、より高水準の商品知識とコンサルティング能力を身につけることで与えられる国際資格「CFP」を取得させて、全国の店舗に配置する。団塊世代の退職が始まる07年をにらみ、年明け早々にコンサルティング事業を本格化させる計画だ。扱う商品は投資信託を中心に債券、株式など、証券会社ならではのものとなる。

 同証券の谷口幸四郎・プライベートバンキング部長は、

 「団塊の世代は、複利なら預金が10年で2倍に増える経験をした最後の世代です。銀行でそんな成功体験のある人たちの退職金を、いかにして銀行口座から証券会社に移し替えてもらうかがポイントとなります。豊富な品ぞろえを用意したうえ、個々の資産内容に応じた運用のパッケージを提示して、手厚いコンサルティングをしていきたい」

韓国GDP並みの81兆円?
 最大手の野村証券は、団塊世代の退職金総額が約81兆円に達すると推計している。韓国の年間の国内総生産(GDP)に匹敵するケタ外れの規模だ。

 同証券の本田泰章・営業企画部長は、

 「すべての金融機関が関心を持っている」

 と話し、団塊世代の巨額な退職金のいち早い囲い込みを虎視眈々と狙っている。

 現在、全国の支店に配置して、窓口での投資相談に応じている地域密着型のファイナンシャル・アドバイザー(FA)を、現在の1600人から、一挙に1000人近く増やして2500人とし、団塊世代の大量退職を待ち構える。

 商品面では、野村が、投資に不慣れな客に代わって、運用成績のいい投資信託を選んで組み合わせる「ノムラファンドマスターズ」を柱にする。すでに1800億円を超える預かり資産を獲得しており、これを投資経験の少ない団塊世代に向けた戦略商品に位置づける方針だ。

 「長寿への不安が増してくる時代の中で、社員と商品のレベルアップを図り、退職者層に選ばれる資産管理を目指したい」(本田部長)


証券参入で巻き返す銀行
 一方、銀行も団塊世代の退職金に照準を合わせ始めている。銀行では、証券会社に出向かなくても株式や債券が買える証券仲介業が12月1日に解禁された。大手銀行を中心に、証券仲介を通じた退職金の獲得合戦が活発化しそうだ。

 中高年世代の生活設計を専門に手がける、FPの柳沼正秀さんは、

 「証券仲介に参入する銀行の狙いは間違いなく団塊世代の退職金です。従来はできなかった株式投資や外債の取り扱いで、証券会社に切り込む腹づもりです」

 と、銀行の戦略を分析する。

 バブル崩壊で、銀行の信用は地に落ちた感があるが、証券会社と比べると、顧客への浸透度では、銀行は優位性を保っている。証券仲介という新しい業務が加わり、大手銀行は、幅広い金融商品を武器に、総合力で退職金ビジネスに挑み始めた。

 みずほ銀行は、証券専業会社に対抗して、団塊世代など豊富な金融資産を持つとみられる「重点顧客」の投資相談に乗るフィナンシャルコンサルタント(FC)の認定制度を、この秋にスタートさせた。来年度中には、このFCを一気に2000人に拡大し、「顧客のライフプランに応じた投資コンサルティングを充実させる」ことにしている。

 また、三菱東京フィナンシャル・グループは店舗政策を重視。傘下の銀行、信託銀行、証券会社が一か所の窓口に集まる共同店「MTFGプラザ」を団塊世代の退職金運用の受け皿とする。「プラザに行けば、どんな金融商品でもそろっており、顧客の資産規模を見極めながらバランスの取れた運用計画を提案していく」(東京三菱銀行)戦略だ。

踊らぬ団塊の世代たち
 こうして、金融界の“団塊ビジネス”は着々と進んでいるが、肝心の当事者たちの動きは鈍い。これまで1500人に上る団塊世代の投資相談を受けてきたFP・柳沼さんは、金融界の熱の入れようを、冷めた目で見ている。

 「仕事一筋だった団塊の世代は、定年後の生活について全く考えていない人が多い。思考停止と言ってもいいくらいです」

 そんな団塊世代の投資感覚はどうかといえば、

 「私の相談客を見ても、90%以上は、過去に預貯金しかやったことがありません。個人向け国債や外貨預金までなら、ある程度は浸透するでしょうが、彼らが株式や債券を積極的に購入するかというと、かなり疑問です」(柳沼さん)。

 だからといって、勧誘する側も手を抜いてはいられない。ポスト団塊にあたる今の50歳代前半や40歳代後半のサラリーマンになると、資産状況はがらりと変わる。バブル以降に購入した持ち家の価格が大きく下落し、住宅ローンなどの負債が相対的に膨らんでいるため、団塊世代に比べると資産のバランスシートがかなり見劣りするのだ。

 団塊世代の定年退職は、金融界が60年待ち続けた千載一遇のビジネスチャンスというわけだ。眠れる大口顧客たちを目覚めさせ、踊らせることができるか否か――金融機関の生き残りがここにかかっているというのは、あながち大げさとは言い切れないのだ。


(YomiuriWeekly2004年12月19日号より)
by miya-neta | 2004-12-16 08:40 | 経 済