「メリークリスマス」は時代遅れ 宗教からみ米で議論
2004年 12月 25日
「メリークリスマス」に代わって「ハッピーホリデーズ(幸せな休日を)」――。特定の宗教を明示しないあいさつが、米国内で目立つようになった。12月には、ユダヤ教徒やアフリカ系米国人の休日もあり、クリスマスだけを祝うのは「政治的公正(ポリティカル・コレクトネス)」に反するとの風潮が年々強まっているためだ。キリスト教右派からは「クリスマスに対する差別だ」と反発する動きも出ている。
全米にチェーン店を持つデパート「ヘクツ」。ワシントン市内の店は、ツリーや飾り付けで雰囲気を盛り上げている。ところが店内には数年前から「クリスマス」の文字が一切見あたらない。
「デパートにとって大事なのは年末ギフトの売り上げ。ギフトはクリスマスのためでも、ほかの休日のためでもいい」と広報担当のダイアン・ダリーさん。
別のデパート「メーシーズ」は、一部のチェーン店で「メリークリスマス」を「シーズンズ・グリーティング(季節のごあいさつ)」に改めたところ、キリスト教団体から不買運動を起こされた。そのため時期に合わせて表示を変える戦術を取る。ユダヤ教の休日ハヌカとクリスマス主体の表示を、26日からはアフリカ系の休日クワンザ中心に変える。
20日に年末最後の記者会見をしたブッシュ大統領は「ハッピーホリデーズ」で締めくくった。翌日に理由を問われたホワイトハウスのマクレラン報道官は「この国は、各人が自分の選択に従って自由に信仰できることを大事にする国だ」と述べ、マイノリティー(少数派)に配慮した措置であることを認めた。ホワイトハウス前にはこの時期、巨大なツリーだけでなくハヌカ用の大燭台(しょくだい)も飾られている。
反ユダヤ主義に基づく差別に反対する「反中傷連盟」(ADL)は、政治的公正を求める立場から「我々が気にするのは公教育の場だ。クリスマスの歌にも一般的なものから非常に宗教的なものまである。キリスト生誕の場面などの絵は公教育にふさわしくない」とガイドラインづくりを求めている。
(2004/12/25 11:07)