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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

過渡期の女性たち慶応大島田ゼミ卒業生の25年(下)「専門力」壁崩す、転職で勝ち取る「自分の場」

SmartWoman 日経生活面

過渡期の女性たち慶応大島田ゼミ卒業生の25年(上)

 大学で受けた専門教育を仕事でいかそうと思っても、現実には社会の「壁」に阻まれる。就職に強いブランド大学の慶応大・島田ゼミの卒業生にも、さまざまな形で壁が立ちはだかった。だが、突破口を見つけ、したたかに自らの可能性を広げている女性たちもいる。

 「やりたい仕事にずっと携わっていたい」――。曽我野麻里さん(41、86年卒)は今年5月、3度目の転職に踏み切った。
 最初のシティバンクでは、人事部を振り出しに「現場を知りたい」と法人営業などに携わった。その後勤務した二つの研究機関で一貫して人事コンサルティングの経験を積んだ。そのキャリアがヘッドハンターの目に留まった。
 現在はローソンの人事部門シニアマネジャー。新浪剛史社長の下、組織や人事を再構築する「前線指揮官」だ。「専門知識を生かして挑戦できる職場を選んだ」と語る。
 「会社の枠に縛られずに仕事をしたい」という意識は広沢知子さん(38、89年卒)も同じ。外資系銀行を約10年で退職した。
 6年余り所属した外国為替部門は刺激的だったが、24時間相場を相手にするストレスから胃薬が手放せない毎日に。葛藤(かっとう)もあったが、「今を吹っ切りたい」という欲求が勝った。
 数カ月の充電を経て選んだのが、ファイナンシャルプランナー(FP)の道。勉強の末上級資格のCFPを取得。今では資産運用の講演や相談に忙しい。「年収うんぬんではなく、助言に感謝される声が直接伝わり、充実している」と話す。



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 島田ゼミを卒業した女性へのアンケート調査から浮かび上がるのは、自らの知識をいかしながら、よりやりがいのある仕事を求めて転身する姿だ。アンケートに回答を寄せた39人の中で20人が転職経験がありと答え、何度も経験している人も少なくない。
 産業再生機構でマネジャーとしてカネボウの再建に携わる芦沢美智子さん(32、95年卒)もそんな一人。就職せず「浪人」して公認会計士を取得。大手会計事務所で監査業務に携わった後、慶応大学院経営管理研究科で経営学修士(MBA)を取得。大手電機メーカーを経て機構に飛び込んだ。「会計・財務の知識をいかしながら、ビジネス自体を動かすダイナミズムにふれていたい」と語る。
 転職は「会社が合わない」などのケースもあるが、島田ゼミ卒業生の場合、積極的な転身が多い。転職経験ありの女性たちがあげた働く理由は、「自分を成長させたい」が7割、「知識や能力を生かしたい」が6割に上る(複数回答)。
 「1家の大黒柱として地位や報酬にこだわりがちな男性と異なり、内容本位で仕事を考える」(曽我野さん)という女性も目立つ。
 露木知子さん(37、90年卒)は、午前中は夫が勤める弁護士事務所の経理・事務の元締役として出所し、午後は育児に専念する。「子どもが小さいうちはふれあう時間が重要」と考えるからだ。
 2男が乳児の時は、4時に起床、朝の家事を済ませ、背中におぶって東京・虎ノ門の事務所まで通った。「育児や母親の介護もこなし、学界や外交界で活躍する緒方貞子さんが理想」という。


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 川畑佳子さん(仮名、42。85年卒)が社会福祉士を目指そうと思ったのは、夫が脳卒中で倒れたのがきっかけ。学部首席卒業の経歴をひっさげ、ある銀行に総合職1期生として入行。1年後に結婚した相手は、同じ銀行の先輩行員で、総合職同士ではその銀行初めてのケースだった。
 まもなく妊娠、出産しても続けようと思ったが、残業続きで切迫流産の危機に。そこで「初めて仕事以上に命の大切さに目覚め」、退職した。産後、大学院で勉強、子育てに役立てようと大学の教育心理学の授業に潜り込んだ。「効率性を追求する経済の専門知識とは別の能力を追求し社会還元したい」と語る。
 「女性の社会進出にハンディがあると嘆いても始まらない」と力説するのは鵜木有子さん(51)。76年に慶大文学部を卒業後、85年に再び経済学部に学士入学した「変わり種」だ。
 学生時代に起業し、89年に渡米。米国の大学院で客員教授を務めたり日本企業の海外進出の支援業務などを手がけ、日本に帰国後、大手企業のコンサルティングを手がけるなど多彩な経験から、「役に立ちたいという動機があれば、道は開けてくる」と語る。
 彼女たちのポジティブさには、受験戦争を勝ち抜き、社会に出てからも欲しいものがあれば、専門知識と経験を武器にためらわず挑戦し続ける「勝ち組精神」がのぞく。
 現役のゼミ生たちもしたたかだ。「大手銀行には女性採用に上限枠がある」とのうわさを耳にし、志望の矛先を外資系の金融機関に移したり、「結婚や出産後も仕事を続けられるのでは」と考え、公務員試験に的を絞った女性もいる。
 彼女たちの多くは、「仕事を続けていくうえで1概に女性は不利とはいえないのでは」と楽観的。社会の現実にまだ触れていないこともあるが、「女性が子育てしながら働ける環境は前より整っている」と感じている。先輩たちをロールモデルに、さらに充実したキャリアをめざす世代が台頭してくるのかもしれない。(この連載は鈴木由美子、花渕敏が担当した。)

頑張る女性が社会を変える・島田晴雄教授の話

 働く女性をとりまく環境は以前より改善してきた。同期・同窓の男性と「特に差はない」と答えた人が半数近くにのぼっている。以前なら「不利」という回答が大半だったはずだ。
 米国を見ても、30年前は「死体解剖が無理」と医学部に女子を入れなかった名門大学もあったが、今やロースクール(法科大学院)の6割は女性が占める。日本もそうした女性に門戸を広げる波が押し寄せている。今は「過渡期」だ。
 ゼミ学生には、自分が常に社会のリーダーになれるような気概をもち、常に前向きに生きよと教えている。女子には子どもを産み育て、仕事も1生続けるようにと口を酸っぱくして言っている。仕事を辞めてしまえば、自己実現は難しい。
 もちろん、様々な事情でやる気や夢をつぶされそうになることがあるだろう。保育所など社会的インフラが不十分という厳しい現実もある。でも、世の中の方が間違っていると思って、あきらめずに現実に立ち向かってほしい。頑張る女性が増えれば、社会も変わっていく。ぜひ時代の先兵として、過渡期の困難を乗り越えてほしい。

[日本経済新聞 2004/12/21]

 
by miya-neta | 2004-12-29 12:53 | 女 性