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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

「入学」切符に滑り止めの砂…縁起の良さに“付加御利益”模索

Sankei Web 社会 「入学」切符に滑り止めの砂…縁起の良さに“付加御利益”模索(01/25 15:33)


 南海電鉄高野線の橋本駅から高野山方面に2駅目の学文路(かむろ)駅は、ごく小さなローカル駅だ。周辺には飲食店もなく、よもぎもちの売店が1軒、ぽつんとあるだけ。だが、受験シーズンになると、この難読駅が注目を浴びる。

 近くにある学文路天満宮(和歌山県橋本市)で出会った初老の夫妻は、孫が高校受験を控えていた。「語呂がいいので御利益がありそう。本人も気が楽になるでしょう」と話す夫婦は、学文路駅で特製入場券を買うつもりだという。

 「学文路」は、「学問(文)の路に入る」、もしくは「学文路駅入場券」で「入学」と読め、縁起のいい駅名として受験生が昔から注目してきた。特製入場券は5枚つづりで、「5枚セット 入場券 学文路駅」の頭文字で「ご入学」となる。

 「受験生本人はもちろん、家族や親類が買い求めるケースもあります」と南海電鉄営業企画課の藤田将之さん。発売前には学文路天満宮に運んで祈祷(きとう)を受けるというから、縁起物を超えた「お守り」といえるかもしれない。

 学問の神様、菅原道真をまつる同天満宮でも、春から夏にかけて、お礼参りの学生の姿が見られる。菅野一三宮司(58)は「駅の入場券が宣伝されてから、神戸など遠くからも参拝者が来る。『受かりました』と声を掛けられるとうれしくなりますね」と目を細める。

 「昭和50年から販売していますが、当初は駅名の語呂だけで売っていました」と藤田さん。55年以降は毎年デザインを変えており、今シーズンは絵馬をかたどっている。過去には大学ノート型(平成2年)、打ち出の小づち型(9年)などがあった。

 毎年9月ごろ、営業企画課内でデザインの検討が始まり、アイデアを持ち寄る。14年はパスポート型で「試験にパスする」、12年のタヌキ型は「タ(他)にヌキ(抜き)ん出る」との趣向。説明のつくデザインでなければならず、「なるほど」と思わせるものに行き着くまで会議は白熱するそうだ。

 四国・徳島県のJR徳島線学(がく)駅も、この時期に注目される駅だ。入場券5枚と合格祈願と書かれたお守り袋をセットで販売しているが、切符のはさみを入れる場所に「入」の文字があり、駅名の「学」とあわせて「入学」となる。今シーズンは徳島駅での販売分に限り滑り止めの砂を特典でつけ、問い合わせが相次いだという。

 砂は、車輪が急勾配(こうばい)や落ち葉などで空転するのを防ぐため、実際にレール上にまいて使われているもの。JR四国によると、吉野川の川砂を購入し、米粒大の大きさに振るい落とした上で、列車に積み込んでいる。

 JR四国は、社内提案制度で今シーズンから砂の商品化にこぎつけた。同社営業部は「滑り止めの表現は適切ではないかもしれないが、志望校に滑らないでほしい、と願ってます」と話す。

 同じ趣向の砂は、JR西日本も山口駅などで販売している。山口線で運行している「SLやまぐち号」が使っている砂で、昨シーズンから販売しており、防府天満宮で合格祈願までしているそうだ。JR広島支社山口鉄道部は「踏ん張りどきに、砂の威力でSLのように力強く前に進んで」と受験生にエールを送る。

 毎年デザインを変える入場券や滑り止めの砂など、鉄道各社がユニークなアイデアをしぼり出す背景には、少子化で受験生の数が減っており、縁起のいい駅名だけでは注目されにくいという事情もある。

 JR四国によれば、学駅入場券の販売数は、昭和53年の約26万3000枚をピークに減少を続け、昨シーズンは約6万5000枚(1万3000セット)だったという。受験生に関心を持ってもらうため、付加価値ならぬ“付加御利益”を模索する各社のアイデア比べは、今後も続きそうだ。(飯村文紀)



 【学文路駅入場券】 南海高野線各駅などで限定5000部の販売、750円。南海テレホンセンター(TEL06・6643・1005)
 【学駅合格祈願きっぷ】 JR四国の主要駅で販売、800円。滑り止めの砂は徳島駅販売分の限定特典で、1000個がすでに完売。JR四国商品企画課(TEL087・825・1646)

 【合格祈願SLオレンジカード(SLやまぐち号の砂付き)】 JR西日本山口駅などで限定2000セットの販売、1200円。JR西日本広島支社山口鉄道部(TEL083・924・0328)

(2005/01/25 15:33)
by miya-neta | 2005-01-25 17:21 | 社 会