「宗教色強める米に違和感」ウディ・アレン氏単独会見
2005年 02月 20日
映画監督で喜劇役者のウディ・アレンさん(69)が18日、読売新聞との単独インタビューに応じた。アレンさんは宗教右派が影響力を強める今のアメリカへの違和感を訴えた。(ニューヨーク 勝田 誠)
――米国は中西部や南部を中心に共和党の強い「レッド・ステーツ(赤い州)」が主流になってきましたね。
「だから、疎外感を感じる。米国にとって好ましい状態でもない。宗教的な原理主義が幅を利かせるのは、米国のあるべき姿ではない。ひとたび宗教が政治とない交ぜになれば、教育面、国の方向性、それどころか、あらゆる考え方において不健全になるのは当然だ。ぼくと同様、(宗教を色濃く反映した)このような考え方に強く反対する人は多いけれど、わずかに半数を割っている」
――ニューヨークは多文化主義の中心であり続けるのでしょうか。
「多文化主義は米国が持つ偉大な一面だと思う。実際、米国は宗教的な国家だ。ただ、米国の発展というのは、リベラルで科学的で、洗練された考え方が、宗教右派が持つ時代遅れで不適切な考えを押さえ込んできた歴史だ」
――9・11(米同時テロ)を題材にした映画を撮らないのですか。
「撮ろうと思ったことは1度もない。政治的、あるいは、社会派の映画監督ではないから。ぼくは反ブッシュだから、マイケル・ムーア監督の『華氏911』を大いに楽しませてもらったけれど、同じような映画を作る気などない」
――最近の作品は実存主義的な傾向を強めていますね。
「人生については極めて悲観的だ。芸術が人間の持つ悲惨さを埋め合わせるとは思わない。人間の運命とは達成した結果と無関係で、全く嫌になる。あなたの人生にも意味など無い。死ねば永遠に消えるだけ。病死かもしれないし、老衰かもしれない。愛する人も死ぬ。いずれ宇宙そのものも消えて無くなり、シェークスピアもベートーベンもレンブラントも消える。歓喜や愛、芸術的な達成感の瞬間をいくら積み上げても、長い長い暗黒の時に匹敵するはずもない」
――それでも、映画の中のコメディーやユーモアは癒やしになるのでは。
「脚本を書いてキャストを決め、撮影する映画制作は頭痛の種ばかり。ささいなことが気になる。だからこそ、不愉快なことだらけの実存から、関心の焦点を外す気晴らしになるのさ」
◆ウディ・アレン=1935年12月、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。代表作に「マンハッタン」「カイロの紫のバラ」など。「アニー・ホール」で77年度のアカデミー作品、監督、脚本賞。最近作は「さよなら、さよならハリウッド」「エニシング・エルス」など。ユダヤ系米国人ならではの鋭いギャグや風刺で、根強いファン層を持つ。
(2005/2/20/01:12 読売新聞 無断転載禁止)
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