発信箱:ライブドア再考
2005年 02月 28日
野村証券元会長の相田雪雄さん(81)に言わせれば、ニッポン放送株の時間外取引を江川卓投手の読売巨人軍入団強行(78年)にたとえるのは「ばかげた話」である。時間外取引は市場ルールの一環であり、野球協約が想定しない奇策を弄(ろう)して横車を押し通した「空白の一日」事件とは基本的な性格が違う。
外国畑一筋で「日本の証券・金融ビジネスや政治、社会のいびつさ」を感じながら「国内で仕事をする時はいつも『ここは日本だ』と自らに言い聞かせてきた」(96年日経金融新聞連載「私の金融史」)という相田さんの目に映る日本は、相変わらず政官業の主流と大手メディアが結託したクローニー(crony なれあい)資本主義である。90年代に改革・開放を探る機運が盛り上がったが、その後は「日本には日本のよさがある」式の開き直りが横行して改革が進まない。その意味で堀江貴文氏の挑戦は小気味いい……。
「ただし、彼はもっと志を語らなくちゃな」と相田節は続く。「報道の使命なんて」という堀江放言にカチンときていた私は「そこです」と身を乗り出してしまった。
なるほど堀江氏は坂本龍馬で、フジテレビが幕臣かもしれない。新聞社で禄(ろく)をはむ私の頭にもチョンマゲが載っているのだろう。ネクタイとスーツの源流は、半ズボンに絹の靴下の貴族式に対抗したフランス革命派のスタイルだそうだ。堀江氏がネクタイを守旧派の絹の靴下と見るのはいい。問題は堀江龍馬の「船中八策」だ。マネーゲームに踊る山師かメディア革命の旗手か。ネクタイを緩めて彼の言動を注視している。(編集局)
毎日新聞 2005年2月28日 0時07分
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